コラム・エッセイ
街の美術館
翠流▼周南市のパレット画廊の平野嘉彦さんが1日に亡くなった。若宮町にあるパレットビルは1階が画廊、2階が画材店、3階がアートホールで、まさに「街の小さな美術館」。足を運ぶ機会も多かった。
▼最近は途絶えているが、50人を超える山口県在住や出身者などゆかりの美術作家の作品を一堂に集めて1月初めに開いていた小品展は圧巻だった。
▼個展も数多く手がけた。7日から21日までは国際的に活躍している山口市の彫刻家、田辺武さんと素子さん夫妻の日本画の二人展が開かれているが、長期間かけて準備してきた展覧会で、会場に立ちたいと念願していたがかなわなかった。
▼画廊だけでなく画材店、絵画教室もあり、今後は妻の壽美子さんが中心になってベテランも多い従業員とともにその志を受け継いで事業を続けていくという。声援を送りたい。
▼また、会うたびに平野さんが心配していたのが徳山商店街の現状。1960年から若宮町やみなみ銀座に店舗を持ち、商店街の盛衰を体験し、その中で美術の灯を守ってきた。
▼来年、新駅ビルがオープンすることから新規出店も続いているが、飲食店が多い。中心市街地活性化基本計画で目指している買い物や幅広い文化を楽しめる「公園都市(パークタウン)」にはまだ遠いのが現状だ。
▼その中でパレットの役割はますます重要になる。平野さんにはもっともっと長くこの街を見守ってほしかった。温顔に接することができないのが残念でならない。
(延安)
