コラム・エッセイ
街の潤い
翠流▼周南市役所の玄関に先日、掛け時計が掲げられた。受付で時間を聞く人が時々いることから行政管理課が取り付けたという。
▼便利になっただけでなく、時間を聞かれたことを放置せず、担当部署に伝え、担当部署も聞き置くだけでなくそれに応えて時計を設置した。時間を聞いていた人、聞かれた職員、時計が掛けられたことを見つけた市民、このちょっとした行為がどれだけたくさんの人を笑顔にしたことだろう。
▼効率だけなら、時計はそばの市民課にもあるし、市役所の屋上には大時計もある。時間を聞く人もそんなにたくさんいるとは思えない。それでもその時計を見て、うれしい気持ちになるのはなぜだろうか。
▼初夏を迎え、街のあちこちでさまざまな花が咲いている。少し前までは街路樹のハナミズキが咲きそろい、歩道の街路樹の根元や周囲でも春の花が咲き、誰が植えたのか、市役所徳山港町庁舎近くの産業道路沿いの公園前には、バラの花が咲いていた。
▼以前、店舗前の飾りつけとしてベンチと鉢植えなどの緑、それにお客さんに伝えたいことを書いたブラックボードなどの3点セットが有効と聞いた。これは売上向上などにつなげる手法だが、それだけでなく、ボードに書かれた言葉や鉢植えから季節感や店のスタッフの思いが伝わり、街に潤いを与えているように思う。
▼市役所も街も変わりつつあるが、無味乾燥な効率だけの場所にしてしまっては誰も喜ばない。気持ちを和ませる潤いを忘れないようにしたい。
(延安)
