コラム・エッセイ
とほほ…メガネをなくしたあー
晩期高齢者のたわごと 中村光子(周南市有楽町)朝、起床すると着替えをし、家中の窓を開ける。仏壇の花立の水を替え新しい花を活け、般若心経をあげることで1日が始まる。夫が亡くなってから始めたことだが、最初はすっかり忘れたりしたが、今は習慣になっている。物忘れはひどくなってはきたが。
そう、物忘れが本当にひどくなった。今日も台所で朝の片付けをしながら箱に入れてある布巾を取りに行ったのだが、何を取りに行ったか忘れ、台所へ引き返して思い出した。
ひとに迷惑がかからないことなら良いが…先日、友人からおいしそうなハランキョウが届いた。今年の初ものであったので、私ひとりで食べては申し訳ないと思い、娘が我が家へ来た時に一緒に食べようと、冷蔵庫の奥へしまい込んだ。娘が来た時は忘れていた。思い出した時はぐんにゃりとしていたが、ケチな私はすべて口の中にほおりこんだ。
いつも、湯野温泉に連れて行って下さるS夫妻のご主人が病気になられ、しばらく温泉に行けなかったが、医師からお許しが出たので、久し振りに喜んで出かけました。風呂仲間とも出会い楽しい時間を過ごした。帰りの車の中で気がついたのだが、メガネがないのだ。
それより少し前、寝る時にはずすメガネの置き場所が悪かったのだろう、枕か私の体が当たったのか、メガネがペシャンコになっていたのだ。悪いことは続くものだ。急いで温泉場に問い合わせたが、どこにもなかったですという電話であった。トホホのホ。
高校時代からメガネの世話になっているから、すでに体の一部分であるから、とても不自由である。
そこで、このさい、思い切ってメガネを新調することにした。美人薄命の私のことゆえ、この先、どれほど生きながらえるか知るよしもないが…まあ、それはそれとして、少し奮発して作ろう…と、考えたのであります。
幸せなことに、私は気のよい、お金持ちの友人知人が多い。私の貧しい暮らしを知っているので、いつも、あちらこちらからの差し入れがある。先日はあじさいとアカパンサスの花をひと抱え、ジャガイモ、玉ねぎ、漬け物などなど、今日は水ナスのつけものが小包で届いた。
山を背にして田んぼや畑を作っている友人は「これはやわらかいおじゃがだから、つぶして」「これは、粉吹きいもだからサラダの横へ」などと、食べ方まで添えてある。
只今、私は戴きものの野菜や花にかこまれて、おすそわけの夕食に、シタツヅミを打ちながら…これを書いています。
やがて、出来上がってくるであろう、奮発して作ったメガネを、首を長ーくして待っているところです。
絵・杉川 茂
