コラム・エッセイ
自転車・カギかけ・ヘルメット
晩期高齢者のたわごと 中村光子(周南市有楽町)毎週木曜日の9時30分から、我が家の2階の広間で「100歳体操」をしている。始めた頃は参加者は10人程度だったが、最近は20人近くの参加者が集う。おっと、忘れちゃいけん、有楽町自治会長の愛犬めるも参加し、体操がはじまると、ぐるりとあたりを見回して、チェックしている…ようだ。
過日、中央地区コミュニティ会長大山氏が来られて「今日の3時20分より『山口県警察音楽隊』が、徳山駅の2階広場で自転車・カギかけ・ヘルメットをテーマにした演奏会を開きます。皆で参加しましょう」と、言われた。
駅2階広場にはすでに大勢の人が集まっていたが、前列席は空いていたので、連れだってきた私達は、その場に陣取った。
さすが警察音楽隊、一糸乱れず正しい姿勢である。中でも女性隊員は持ち場で演奏したり、前面に出て大きな手旗を振ったり、ビニールの輪を廻したりと大忙しだ。リズム感のない私は歌についてゆけず、説明を受けても耳に残らない。唯一、最後のNHKの「小さな旅」のメロディだけは…わ、わかりました。
やがて、演奏曲はその日のテーマ曲である“自転車・カギかけ・ヘルメット〟になり、若い団員が、おごそかに言った。
「それでは、本日のテーマ曲であります、長い、長い曲の最初を私が歌いますので、2回目からは、会場の皆様もご一緒に歌って下さい」
我々は、いや、私は緊張して椅子に座り直し、姿勢を正した。それでは歌います。
自転車・カギかけ、ヘルメットー。ハイご一緒にー。馬鹿正直者の私は胸を張り、その長―い歌詞、「自転車・カギかけ・ヘルメットー」と、何回も、それも一生懸命にうたったのであります。
楽しい時間は?…またたく間に過ぎたのですが…考えるに私の歌は少し調子がはずれていたようにも思います。
そして…それから、大きなカメラを肩にしたハンサムな男性が私の前に立ち「インタビューをさせて下さい」とおっしゃるではありませんかー。全く予想だにしない、突然のこと故、何をしゃべったかも覚えていない…いや、いや、覚えているのは…
「わ、わたしは83歳の年寄りです」と答えたことです。インタビュー(?)は1分もかからなかったと思いますが、テ、テレビって、オソロシィーですね。
その日の夕方から、次の日の昼ごろまでに身内や友人たちから、4回も電話がかかってきたのです。普段でしたら冗舌な私、低い鼻をヒクヒクさせながら、あることないこと、イバッテしゃべるでしょうが、いやはや…。
齢を重ねるということ…困ったものです。
絵・杉川 茂
