コラム・エッセイ
(14)雨の古川跨線橋
補 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
スーパーなどの駐車場では、店の入口から少し離れた場所に車を駐めるようにしている。できれば、周辺に駐車した車が一台もいない方が良い。
運よくそんな場所に駐車できれば、歩くことぐらいは苦にはならない。
その理由は、周囲に車が駐まっていない方が、ドアを開閉する時や車の乗り降りをする時に気を使う必要がないからである。さらに、隣に駐車した車からドアを当てられるなどの被害を受けなくて済むからでもある。
また、少しでも入口近くに駐車したいといった激しい争奪戦に巻き込まれることがないのも利点と言える。できるだけ近い場所に駐車したい気持ちを否定するつもりはないが、少し離れるだけで気持ちが楽になる。
ところが、買い物を済ませて車に帰ると、周辺に空きスペースが多くあるにも関わらず、なぜかすぐ隣に車が駐められていることがある。めったにあることではないが、目算が見事に打ち砕かれた驚きの瞬間でもある。
周辺に空きスペースが多くあるにも関わらず、あえて隣に駐車する理由を理解することはできないが、もしかすると、駐車中の車の隣に駐めることで車との間隔を事前に確保したいといった目的があるのかもしれない。
ガラガラに空いた駐車場にもかかわらず隣に駐車することを「トナリング」、駐車する人を「トナラー」と言うらしい。駐車に限らず、電車などで他が空いているにも関わらず隣に座ってくる人も「トナラー」と言う。
雨の日、屋内駐車場を利用する場合には、空いている時以外は、店舗から遠い階の駐車場を利用するようにしている。そして、店舗入口から離れた場所に車を停めているが、「トナラー」がいるかどうかは不明である。
その場所からは、6月に架設桁の引戻し・解体が進められ、いよいよ今月からトラス橋を降下させる工事が始まる予定の古川跨線橋が見えていた。高い位置にあるトラス橋を見ることができるのもあとわずかである。
