コラム・エッセイ
第十六手「囲碁で繋いでいくバトン②」
「碁」for it 小野慎吾今回も「徳山中央棋院」内での個性的な囲碁の打ち手を中心にご紹介していきます。
筆者が学生時代通っていた頃は、もう遥か20年以上前の事ですが、碁会所に来られる方が平日で20~30人以上いた印象です。中でも印象的だった方は、昼の早い時間で1~2時間くらいしかおられませんでしたが、いつも作業服で来られていた方です。
その方は常にニコニコした表情で囲碁を打たれていました。碁会所の中には勝負が佳境に入ると「この手はここにちゃんとあった?」「はい、ありました。」「いやなかったでしょう!」などと多少揉めることは1日中いればある時代でした。しかし、その方はそういう揉め事をされた事は一度も無く、勝っても負けても常に「笑顔」でした。
その方の携帯電話が鳴ることは多く、少し席を外してから、仕事に戻るため対局を「負けました」といって帰られることもありました。負けるのが何よりも皆さん悔しいはずなのに「凄いなぁ」と感心したこともあります。子供心に仕事中の休憩時間に「徳山中央棋院」に来ているのかなと思っていました。
優しい方で誰からも好かれており、その方の悪口を言っている方を聞いたことはありませんでした。私が卒業する頃に、ご体調が悪くなり亡くなられてしまった事をお聞きして大変悲しかったのを覚えています。
その後、こういった形で囲碁の「碁会所」「子供教室」を開かせて頂いた流れの中で、その方のお孫さんが「子供教室」に通われるようになりました。お孫さんもおじいちゃんと同じくいつもニコニコしながら打っていて、私自身時折おじい様を思い出す事があります。
目標は、お孫さんもおじいちゃんが打っていた「徳山中央棋院」で打つことです。おじいちゃん譲りの囲碁の才があるせいか、日々お孫さんも強くなっています。その日が近いことを私は確信しております。
そういった事で「囲碁で繋いでいくバトン」という題名をつけさせて頂きました。その他の子どもの生徒さんも、おじい様に教えて貰いながら練習をしています。昔は珍しくない景色でしたが、現代では目新しい光景になりつつあります。
教えているおじい様、お子様共に「楽しい」というのは表情を見て一目りょう然です。そういった光景と共にバトンを繋いでいけたらと願っております。
次回は「囲碁は簡単?難しい?」を書きたいと思います。
繋いでいくために「碁」for it(頑張る)!
血圧計。おじい様方が毎日使用しています。
新しいテレビ、インターネットで囲碁を毎日視聴。
