コラム・エッセイ
第七十三手「熊本からの挑戦者②」
「碁」for it 小野慎吾前回は熊本から中学生(以降Kさん)が、単身で筆者に挑戦しに来てくれたことを紹介しました。その続きとなります。
Kさんは小学4年生から囲碁プロ棋士で有名な三村智保・九段の教室に通い始めました。三村プロはタイトルを4つ獲得されたことがある一流棋士です。三村プロは千葉県で「市川こども囲碁道場」を開いています。囲碁を通して「学び続けること」「礼儀正しさ」「強く正しい心」を身につけ、切磋琢磨することを目指されています。Kさんはここの道場生としてふさわしい精神を持っていると改めて感じました。
筆者の教室のモットーは囲碁を通して「同じ時代を共に楽しく生きる」です。もちろん「礼儀正しさ」「正しい心」というのも大切ですが、それはずっと囲碁をしていれば身についていく所作だと思っています。囲碁教室の仲間・友達と一緒に楽しく過ごす、諸先輩達と囲碁を打ち楽しく強くなる等、囲碁の楽しみ方は個人個人で少しずつ形は違います。ただ、楽しくなければ何事も続きません。そのため当教室では“楽しい”を一番念頭に置いています。話が少し横道にそれました。
プロ棋士の先生に習うことは囲碁の技術としても「正しい手」を身に着けることが出来ます。それは囲碁に置いて勝利に一番近い道とも言えます。Kさんの実力はプロでもハンデ無しでたまに勝てたりすると本人から伺いました。前回紹介した通りKさんと対局した際、Kさんは惜しくも筆者へのリベンジはなりませんでした。序盤から中盤はプロの先生に習っているため、筆者が知っている以上に「正しい手」を打たれました。囲碁は最初打つ場所が361通りあります。ですが、現代の囲碁は正しさを求めるため、同じ展開が増えている傾向にあります。
筆者が子ども時代は特定の師がおらず、碁会所にいた方とひたすら打ち続けていたため、「我流」に近いです。今でもその傾向は抜けてはいませんが筆者が思う「正しい手」は相手によって変えるというところにあります。理由は囲碁が対人戦だからです。対局ではKさんが正しい手を打ち続けることを感じたため、Kさんがおそらく知らないであろう昔の定石、展開を強く意識し打ちました。
結果、序盤から中盤終わりまで互角の展開でしたが正しい手を打つKさんにそこまで食らいつけばむしろリードと捉えました。筆者が最も得意とする終盤で形勢を決めることが出来たのは幸運です。Kさんはまだ若く、序盤から中盤は実戦を打つ事で正着を身に着けることが出来ます。ですが終盤だけは対局によって途中で相手が投了するなどがあるため、対局経験が長い方が上手い傾向にあります。
筆者からKさんに正着のみの経験を積む事だけでなく横道もある程度経験していくこと、終盤でも「正しい手」を身につけることの2点をアドバイスしました。対局が楽しかった様で、また春休みになれば挑戦しに来ます!といってKさんは山口県を後にしました。次、対局できることを楽しみに待っています。
挑戦者に抜かれないために「碁」for it(頑張る)!
アメリカ・シアトルのこども囲碁教室風景
アメリカ・シアトルのこども囲碁教室風景
