2026年04月09日(木)

コラム・エッセイ

(1)樸玉の滝(あらたまのたき)(2)

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 菅野ダムにある「樸玉の滝」を訪ねてみた。2年半以上前にも訪ねたことがあるが、当時はダムの貯水位が45.6%であったため滝の上部だけしか見ることができなかった。ところが、今回は29.2%にまで減っている。

 その危機的ともいえる貯水量の減少は、工業用水にとっても深刻な問題となっている。そんな状況にも関わらず、すでにダムの奥底に沈みこんだものに対して今さら思いを寄せるのは、何とも心苦しい限りではあるが。

 しかし、古き時代の面影がわずかであっても感じられるのであれば、心を鬼にしてでも出かけてみたいと思う。さらに、菅野ダムの貯水位の数値が表しているように、滝を見ることができるまたとない機会に違いない。

 県道8号徳山光線沿いに駐車し、徒歩で阿田川橋を渡り林道阿田川線を進むと、約10分で爆音とともに流れ落ちる大きな滝が眼下に現れる。この滝が、渇水時だけに姿を現すことから幻の滝と言われる樸玉の滝である。

 滝の周辺は、今回の渇水によって完全に水が引いている。ダム湖への立入りが禁止されていないことを確認した後、湖底に降りてみた。決して推奨されるべきものではないが、あらゆる事態を想定し、慎重に行動した。

 途中、何度かぬかるみに足を取られながらも、何とか滝のそばに行くことができた。さっそく、今回の目的であった滝の岩石を調べてみると、その主なものが花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)であることが分かった。 また、「樸玉の滝」については、『都農郡誌』(マツノ書店)に「高三丈餘」と記されているように高さが約12メートルあったと思われるが、湖底に沈んだ現在では、すでにその半分以上が土砂に埋まっているように見えた。

 今回は、事前の下見や友人の同行があって、念願であった幻の滝を間近で見ることができた。湖底に立ち入ることは、自己責任ですませることができないほど危険である。滝は、林道から見学することをお勧めしたい。     

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