2026年09月08日(火)

コラム・エッセイ

(34)カンテラ

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 カンテラを知る人も、少なくなったに違いない。名前を聞いたことがあったとしても、実物を見たことがない人も多いかもしれない。それは、カンテラが本来の役割を終えて、かなりの時間が過ぎたことによるだろう。

 今回、地元の人の尽力によって、一台のカンテラを見つけてもらうことができた。全体にサビや腐食が見られる古いカンテラであるが、実際に、鉱山内で照明として使われていたであろうと思われる貴重なものである。

 カンテラの仕組みは、いたって簡単である。燃料となるカーバイドを下部に入れ、上部から水をたらすことでアセチレンガスを発生させる。噴き出したガスを燃やすことで明りにする。明るさの調整は、水の量で行う。

 カンテラは、高さ約15センチ、直径約6.5センチという小ぶりである。上部には、水の量を調整するツマミと水の補給口があり、中央部にはガスの噴き出し口がある。カンテラには、吊り下げるための金具もつけてあった。

 これを使っていたのは、明治から昭和にかけてアンチモン鉱石を採掘した鹿野鉱山である。周南市鹿野の奥大町から坂根の一帯で操業した鹿野鉱山は、日本一の産出量を誇ったこともある全国的に有名な鉱山であった。

 多くの鉱山跡がある中でも、これほど産業遺産にふさわしいと思える鉱山は他にはない。少なくても、資料館があって当然と思うが、閉山から70年近くが過ぎた現在に至っても、残念ながらその気配は感じられない。

 また、鉱山の位置や沿革、操業についての基本的な資料は残されているものの、操業当時の風景や鉱山で働いていた人達の生活実態、作業内容、使用工具、鉱石などについては、全くと言っていいほど残されていない。

 地域の高齢化と過疎化が進み、古いものが急速に失われている現状では、今さら手遅れと言うべきであろう。それでも、今回見つかったカンテラのように、発見されることを待っているものが他にあるかも知れない。

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
山口コーウン株式会社

「安全で 安心して 長く勤められる会社」をスローガンに、東ソー株式会社等の化学製品を安全かつ確実にお届けしています。安全輸送の実績でゴールドGマーク認定を受け、従業員が安心して働ける環境と「15の福利厚生」で従業員の人生に寄り添っています。

ピアレックス

遺品整理でお困りではないですか?県内出張見積は無料!不動産売却や空き家じまい(解体)もお気軽にお問い合わせください。

スバル合同会計 周南事務所

相続時や建物の購入売却時の相続税・資産税のご相談。
大切に育てた事業の譲渡や事業の拡大にむけて、複数の専門業者との提携で、お客さまの求める結果を一緒に目指します。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。