2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

(76)ヘチマ

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 「糸瓜」と書いてヘチマと読む。その名前の由来は、もともとイトウリと呼ばれていたものがいつの間にかイが省略されてトウリとなり、トの文字がいろはのヘとチの間にあることから、ヘチマとなったと言われている。

 そのまま、素直に受け入れることができないような由来であるが、子どものころには、ほとんどの家がごく当たり前のようにヘチマを栽培していたこともあり、その名前について疑問を感じたことなど一度もなかった。

ヘチマと言えば、やはり熟したヘチマから取り出して作られたタワシであろう。台所や風呂場で使用されていたが、時代の流れとともに次第に化学繊維で作られた新しい製品に活躍の場を奪われ、姿を消していった。

 タワシ以外にも草履(ぞうり)や靴の中敷きなど天然素材としての利点を活かした使われ方をしていたが、その他にも、ヘチマのツルから採ったヘチマ水は化粧水や咳止め、利尿薬としても活用されていたようである。

 結核により34歳で亡くなった正岡子規の絶筆三句、「糸瓜咲て痰のつまりし佛かな」「痰一斗糸瓜の水も間に合はず」「をとゝひのへちまの水も取らざりき」にも、咳止めとして利用されていたことが詠まれている。

 明治時代には結核の治療に有効な方法がなかったことから、ヘチマ水が治療薬として使われていたのであろう。ヘチマ水とのつながりから、正岡子規の命日である9月19日は「糸瓜忌(へちまき)」と呼ばれている。

 糸瓜忌を少し前にした今の時期には、ヘチマの花が次々と咲いている。一日花のヘチマの花は、夕方ごろまでにしぼんで落下するが、翌朝になると黄色い花びらを広げている。いったいいつ咲くのかは、不明である。

 そのヘチマの花の見どころは、やはり、意外なほどの花びらの大きさであろう。そのほとんどが直径8㎝以上になるほどの大輪である。また、オスの花とメスの花があり、それらが同じ株に咲くのも珍しいといえる。

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
出光興産

出光興産徳山事業所は、エネルギーと素材の安定供給を通じて産業や暮らしを支えています。環境負荷低減や安全操業に取り組み、地域とともに持続可能な社会の実現に貢献していきます。

スバル合同会計 周南事務所

相続時や建物の購入売却時の相続税・資産税のご相談。
大切に育てた事業の譲渡や事業の拡大にむけて、複数の専門業者との提携で、お客さまの求める結果を一緒に目指します。

株式会社トクヤマ

トクヤマは、電子材料・ライフサイエンス・環境事業・化成品・セメントの各分野で、もっと幸せな未来をつくる価値創造型企業です。

山田石油株式会社

ソロや友達と過ごす「おとなじかん」から、親子三世代で過ごす「かぞくじかん」も楽しめる日帰りレジャー施設「くだまつ健康パーク」。屋内で遊べる施設や岩盤浴、サウナも充実!