2026年08月25日(火)

コラム・エッセイ

(81)ヘクソカズラ

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 「ヘクソカズラ」を漢字で書くと、「屁糞葛」となる。その漢字に書かれているのは、まぎれもなく「屁(へ)」と「糞(くそ)」である。誰にはばかることなく、屁と糞が正々堂々と植物の名前として使われている。

 たしかに、その葉を引きちぎって臭いをかぐと、屁や糞によく似た独特な臭いがする。その臭いから、ヘクソの名前がついたとしても、仕方ないと思わざるをえないが、植物名としては素直に賛同することはできない。

 いまさら調べてみるまでもなく、屁は肛門から排出されるものであり、糞は肛門から排泄されたものである。排出と排泄の違いはあるが、いずれも、生命を維持するために必要不可欠な生理現象ということができる。

 これらの言葉は、植物以外にも多く使われている。屁は、「屁とも思わない」や「屁の突っ張りにもならない」などとして、糞は、「目糞鼻糞」や「味噌も糞も一緒」、「胸糞悪い」、「へた糞」などとしてである。

 ところが、時代が進むに従って、これら屁や糞などの言葉が次第に下品なものとして避けられるようになっていく。その一因となったのは、感染症予防として環境衛生の改善が進められたことにあるのかもしれない。

 不快な言葉として生活の隅に追いやられ、人前で発することがはばかられるようになった屁や糞であるが、日本最古の書物である『古事記』や『日本書紀』の中には、それらを取り上げた多くの神話が記されている。

 また、『万葉集』には、「菎莢(ぞうきょう)に延(は)ひおほとれる屎葛(くそかづら)絶ゆることなく宮仕せむ」と読まれている。いまさら昔に帰ることはできないが、古き良き時代を懐かしむことは可能である。

 長く続いた暑い日がやっと過ぎていった。ようやく秋が感じられるようになって、一息ついてみると、ヘクソカズラの別名である灸花(やいとばな)の花は、あとに小さな青い実を残して、いつの間にか消えていた。

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
山口コーウン株式会社

「安全で 安心して 長く勤められる会社」をスローガンに、東ソー株式会社等の化学製品を安全かつ確実にお届けしています。安全輸送の実績でゴールドGマーク認定を受け、従業員が安心して働ける環境と「15の福利厚生」で従業員の人生に寄り添っています。

ピアレックス

遺品整理でお困りではないですか?県内出張見積は無料!不動産売却や空き家じまい(解体)もお気軽にお問い合わせください。

スバル合同会計 周南事務所

相続時や建物の購入売却時の相続税・資産税のご相談。
大切に育てた事業の譲渡や事業の拡大にむけて、複数の専門業者との提携で、お客さまの求める結果を一緒に目指します。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。