コラム・エッセイ
(92)花魁草(おいらんそう)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
予想外に早く、梅雨が明けた。昨年より17日、平年より6日も早いという。梅雨入りが昨年より27日も早かったことからすれば、梅雨入りが早かった分だけ早く明けたと言えるかもしれない。
それにしても、毎年のように繰り返される降雨による被害には、心が痛む。突然の集中豪雨や長時間停滞する線状降水帯など、これまで経験したことのない異常な気象の連続には不安がつのる。
それでも梅雨が明けた空には、青く澄んだ夏の空が広がり、山の連なりからは白い入道雲さえ沸き上がっている。時折り吹き抜けていく風にも、乾燥したさわやかさが漂っているように感じる。
暑くなりそうな日の朝、実家の庭先に、花魁草(おいらんそう)という少しばかり変わった名前の花が咲いている。その端正な姿形からは、今や死語となったとも言える花魁を連想することは難しい。
花魁とは、江戸の吉原にいた上級にあたる遊女のことであり、現代では、映画やテレビの時代劇や下関市で行われる「先帝祭(せんていさい)」の花魁道中でその姿を見ることができる程度であろう。
これらで見る花魁の妖艶であでやかな印象と比べると、少しばかり違っているように見えることに疑問を感じていたところ、花が北アメリカ原産であることを知って納得できた。
ところが、花の辺りに漂っているほのかな香りが、花魁が付けていた白粉(おしろい)の香りと似ていると聞いて再度魅了された。いまだかつて、花魁の白粉の香りを嗅いだことはないが、そのまま信じたい。
残念ながら、現在では花魁草と呼ばれることが少なくなり、フロックスや宿根フロックス、また花や葉が夾竹桃に似ていることから草夾竹桃(クサキョウチクトウ)と呼ばれるようになっている。
