コラム・エッセイ
(43)ムクゲ(木槿)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
今から15年以上も前のことになるが、一度だけ韓国に行ったことがある。当時働いていた職場に年に何回も通うほど韓国に縁がある人がいたので、職場の何人かで同行させてもらった。
旅行の手配などすべてをまかせきりであったこともあり、余り記憶に残っていないが、それでも朝鮮王朝の王宮であった景福宮や厳重な警戒態勢が敷かれた大統領官邸の青瓦台などを訪れたことを覚えている。
現在では営業をやめて史蹟となっている東京駅にそっくりな旧ソウル駅に感動したことや、38度線付近から北朝鮮の風景を見た時の緊張感は決して忘れられない。
梅雨空の下で雨に打たれながら次々と咲き続けるムクゲの花が、韓国の国の花と知ってふと当時のことを思い出した。事前に知っていたならば、韓国で咲くムクゲの花が見られたに違いなかった。
ムクゲの名前の由来には、中国が原産であることから中国名の木槿(ムージン)を音読みしたモッキンが転化したとする説や韓国名のムグンファ(無窮花)が変化したとする説などがある。
ムグンファといえば韓国鉄道公社のムグンファ号が有名であるが、最近ではソウル・釜山間の京釜線の夜行ムグンファ号廃止の話が伝わっている。今となっては、乗車できなかったことが悔やまれてならない。
周南でもムクゲの花が、多くの場所で咲いている。通勤の途中にも、白やピンク、青紫などのさまざまな色のものや白地に中心が赤いもの、八重咲きのものなど多くの種類の花を楽しむことができる。
新型コロナウイルスが一日も早く終息し、いつの日にか韓国で咲くムクゲの花が見られることに期待したい。
