2026年10月23日(金)

コラム・エッセイ

(48)トウモロコシ

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 以前、数年にわたってトウモロコシの栽培に挑戦したが、いずれの年も失敗に終わった。栽培に対する技量や知識不足が原因だったと思われるが、時には野鳥などの被害を受けたこともあった。

 やっとできたトウモロコシの実を収穫直前になって横取りされる悔しさは、想像以上であったかもしれない。以来、栽培をやめて、必要な時に市中で販売されているものを買い求めている。

 トウモロコシは、小麦、米とともに世界三大穀物とされているほど身近な食物である。皮をはいだものを茹でて食べるほかタレをつけて焼いたものやポップコーンのような実を炒ったものまである。

 不思議な姿形は、絵の素材として重宝されることもある。独特な長く伸びるひげのようなものが絹糸(けんし)とよばれる「めしべ」であり、驚くことにその本数はトウモロコシの粒と同じだけあるという。

 先日、思いがけず本紙連載の藤屋侃士さんの「巡礼の道」の中で、「周南新百景」についてふれられていることに気がついた。さっそく、文中に書かれていた藤屋さんのホームページ「巡礼の道」を拝見した。

 キリスト教に強い信仰心があるわけではなく、ただ単にロマネスク美術を辿ってみたいといった興味本位の動機が恥ずかしくなるほど、キリスト教に対する敬虔な信仰心が感じられる内容であった。

 巡礼の参考にしたい場所が数多くあっただけではなく、かって画家エル・グレコに魅せられて訪れたことがあったスペインの古都トレドの街の記載もあり、当時のことを懐かしく思い起こすことができた。

 寄る年波には勝つことはできないが、いつの日にか、子どものころにトウモロシをナンマンと言っていたことを思い出しながら、限りなく続くトウモロコシ畑を眺めてみたい。

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