コラム・エッセイ
(23)鉄鉱石(周南市戸田)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
ずいぶん前のことになるが、周南市戸田に鉱山があったという話を聞いたことがある。興味があったので過去の資料やそれらしい場所を訪ねてみたものの、簡単には見つけることができなかった。
手掛かりがつかめないまま、時間だけが過ぎていったある日、『防長風土注進案』の戸田村に金山(かなやま)の地名があることに気が付いた。その説明文には、この山から金を掘り出していたと書かれている。
まさにこれこそが、長年探し求めてきた鉱山に違いない。喜び勇んでさっそく現地に向った。その気合いが通じたのか、意外に早く鉱山を知る地元の人に出会うことができた。
さらに、現地を案内してもらえるという幸運が重なった。私有地のため詳しくは書けないが、鉱山跡は意外過ぎるほど近くの場所にあった。そこでは、崩落した坑口の先に坑道と思われる横穴が口を開いていた。
後日、改めて地権者の許可をもらい暗い坑内を調べてみると、3、4メートル先で行止まりという期待はずれの結果となった。残念ながら、金山の説明文と違うのではないかという不安がみごとに的中した。
周辺では採掘の証拠となる鉱石のカケラを見つけることができなかったことから、鉱脈を堀尽くした跡と考えるよりも試掘坑であった可能性が高いと言えるかもしれない。
別の日、調査の範囲を広げていくと、ついに湧水によって黄変した箇所を発見した。さらに離れた場所には、坑口が埋ったと思われる浅い穴が2箇所あり、付近で鉄鉱石らしき石を採取できた。
あくまで素人判断に過ぎないが、この辺りで鉄鉱石が採掘されていたことに間違いないであろう。
