コラム・エッセイ
(27)クマザサ(隈笹)(周南市大潮)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
葉に白い隈取りがあることから「隈笹」と名づけられたとされているクマザサであるが、最近では熊との関連からか「熊笹」と書かれることが多くなった。『広辞苑』(岩波書店)では、隈笹、熊笹が併記されているためどちらを使用しても間違いないものと思われるが、本来の意味を失わないようにしたい。
クマザサには数種類ありその種類によっては、ほのかな香りや抗菌作用などから笹団子やちまきなどにも利用される。また、各種の効果があることから、民間薬としても活用されている。今の時期、抽出液による坑ウイルス効果にも期待したい。
有益な植物である一方で、繁殖力が強く生育範囲の広がりが山を荒廃させる一因ともなっている。山に入る場合には、遭難や転落などの危険防止からクマザサの群生場所をできるだけ避けたほうが賢明である。
周南市大潮小河内にある向原ノ浴の鉱山跡を、地元の人とともに訪ねた。すでに廃屋と化した民家の横から茅(かや)と茨(いばら)を払いのけながら山に入り、倒木が横たわる浴沿いを登る。
しばらく進むと、廃石が積れたズリ山が見えた。長い時の流れの中で土砂に埋もれたものであろうか、近くに坑口は見当たらない。さらに急な斜面を登って行くと、数か所に渡って坑口やズリ山の跡が残されていた。
探索の結果、向原ノ浴では合計4箇所の鉱山跡を確認できた。そのほとんどが原形を留めていない中にあって、岩盤に掘られた深さ7、8メートルの縦坑だけが当時の姿を完全な形で保っていた。
これらがいつの日にか、産業遺産として復活することを望みながらクマザサの茂る現地を後にした。
