2026年07月15日(水)

コラム・エッセイ

(29)アオキの実(周南市金峰) 

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 周南市金峰の菅蔵(すげぞう)にある石塔群を訪ねた。市指定文化財の石塔群には宝篋印塔(ほうきょういんとう)、層塔(そうとう)、板碑(いたひ)、大日角塔婆(だいにちかくとうば)がある。

 付近に建てられた説明板によると宝篋印塔は、本来経典を納める供養塔であったが、室町時代中期から江戸時代初期の頃には豪族の墓として建立されるようになったと記されている。

 菅蔵の宝篋印塔は室町時代初期のものとされているが、『防長風土注進案』には社家(しゃけ)の石村佐渡方舊記に石村悪太郎義秀の為に九重石塔を建立したとあり、干時建久4年と記されている。

 建久4年が鎌倉時代初期にあたることから推測すると、豪族の墓ではなく供養塔であった可能性が高いと思われる。ただ九重石塔の内の四重が残ったものとされるなど記載内容にも不明な点が多い。

 さらにこの地方には、須々万の沼城の戦いで毛利氏に敗れた江良騨正忠賢宣と宮川伊豆守が、その後許されてこの地に逃れ住んだとされる言伝えが残されている。(『鹿野町誌』鹿野の文化財)

 真偽の程は別にして、その言伝えから宝篋印塔と層塔の二つの塔が二人の墓標ではないかとされていることが、山間の地に眠るこれらの塔をより貴重なものにしているのかもしれない。

 桜の開花には少しばかり早い時期に、金峰桜回廊を歩いた。金峰神社の石段前から県道41号線を菅蔵出合に向かってスタートすると、石塔群のある宮の峠に約2時間で到着する。

 そして金峰神社を経由する帰路は、下り坂となる。全行程を途中寄り道をしながら、ゆっくり歩いて約3時間後に帰着した。

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