コラム・エッセイ
(35)プチィポワ des petits pois
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
緊急事態宣言が解除された今でも、外出自粛の生活を変えてはいない。一日も早い地域経済の活性化を強く望んではいるが、第2波のことを考えると出足も鈍くなる。
そんな中、ご近所さんからグリーンピースを頂いた。さっそくグリーンピースご飯を作るための下準備が始まった。かたいサヤを左右に開き、中から緑色の豆を一気に取り出す。
ステンレスのボールに、勢いよく転がり込んだグリーンピースが次第に量を増していく。その手際良い作業をぼんやり眺めていると、グリーンピースが反捕鯨団体の名前と同じであることに気が付いた。
その是非は別にして、フランス語表示を調べようと辞典を捜すと、その隣に映画「アメリ」のDVDがあった。原題は、「アメリ・プーランの素晴らしい運命」で今から約20年前に世界的に大ヒットした。
アメリを演じたオドレイ・トトゥのいたずらっぽい顔がパッケージの円形の窓から覗くDVDを手に取ると、パリのモンマルトルを舞台にした思い出深い映画を見ずにはいられなくなった。
ずいぶん前に絵の勉強でパリに滞在したこともあって、画面に現れるすべての風景がなつかしく思えてならない。アメリが働いていたカフェ・デ・ドゥ・ムーランやモンマルトルの丘のサクレクール寺院。
フランス国鉄(SNCF)の東駅や北駅、地下鉄のアベス駅、消失したノートルダム大聖堂、ムフタール市場、水切りをしたサンマルタン運河など挙げればきりがない。
グリーンピースのフランス語を調べるのも忘れて映画に夢中になっていると、やがてエンドロールが流れてきた。台所では、ちょうどプチィポワご飯が炊きあがったころかもしれない。
