コラム・エッセイ
(80)山藤の花
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
天地返しをするためにスコップで土を掘り返していると、地下20センチあたりから多くの黒い根が出てきた。近くに樹木があるわけでもなく、土中に生きた根があること自体が不思議であった。
根の正体を探るために、根元をたどってみたが明らかにすることができなかった。ところが、偶然、掘り起こした根が畑のすみに顔を出ている赤紫色の新芽につながっているところを発見した。
さっそく、その新芽の名前を調べてみると、「ヤブガラシ(藪枯らし)」という何とも恐ろしい名前であることが分かった。つる性で繁殖力が強く、その名前の通り藪を覆って枯らすほどの植物らしい。
これほど地中深くに根を張っていることなど想像すらしなかったが、生えてくるツルを抜いても抜いても枯れることがなかった理由がわかり、空に広がる青空のようにすっきりとした気分になった。
しかし、ヤブガラシの駆除はそう簡単ではない。たとえ地中を掘り返して根を取ったつもりでも、断片が残るとそこから発芽する。全てを完全に取り去ることが不可能であるところに駆除の難しさがある。
このヤブガラシの別名を、ビンボウカズラ(貧乏葛)という。手入れを怠ると、庭や家屋が繁殖したヤブガラシにおおいつくされる。その様子を目の当たりにすると名付けられた理由が良くわかる。
また夏ごろに咲く花には、スズメバチなどのハチ類がよく集まってくる。まったく悪いところだらけのヤブガラシであるが、唯一の利点として新芽が食べられることをあげておきたい。
繁殖力にあやかりたいヤブガラシであるが、同じつる性の植物としては藤の方が好まれる。藤は「不死」につながることから魔よけの力があると言われているので、より最強に違いない。
