コラム・エッセイ
(13)どんぐり(クヌギ)(周南市羽島)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
周南市羽島のほぼ中央に位置する小高い丘は、標高32メートル程度にも関わらず、羽島山、象鼻(尾)山、三島山などの名前が付けられている。その主な理由に、この地が信仰と深く結びついてきたことを挙げることができる。
その中の羽島山は、羽島八十八ヶ所霊場が山頂を一巡していることから付けられたものであろう。弘法大師の足跡をたどる四国巡礼は、江戸時代に盛んになり各地に巡礼地が作られた。
羽島以外にも富田新四国八十八ヶ所、永源山八十八ヶ所、福川八十八ヶ所、河内八十八ヶ所、高瀬八十八ヶ所など多くの巡礼地がある。ところが最近では順路の荒廃が目立つようになってきた。
その多くは竹害によるもので、羽島山も例外ではなく、竹におおわれた順路はうす暗く倒れた竹が行く手を阻んでいる。その被害は、順路の途中にある羽島古墳にまでも拡大しているように見える。
羽島1号古墳は、古墳時代後期(6世紀)に築かれたもので、片袖式横穴石室を持つ。すでに天井部分が失われた玄室には、地蔵尊や八十八ヶ所霊場の七十二番、七十三番が置かれている。
象鼻山は、金毘羅社が山頂にあることから、四国琴平の象頭山に対して名付けられたものである。海上交通の守り神である金毘羅が、かってこの付近にまで海岸線が来ていたことを物語る。
三島山もまた、山頂にある三島神社から名付けられたもので、『防長地下上申』の三島明神小社に「開作之内三島山ニ有り」と記されている。
さらに山頂では、八十八ヶ所霊場に地蔵菩薩や荒神堂が並ぶ。荒神堂の大燈籠付近には多くのどんぐりの実が落ちていた。
