コラム・エッセイ
(95)花カンナ
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
カンナの花に、雨は似合わない。真夏の炎天下のもとで咲く姿こそが、カンナ本来の美しさであり魅力であるように思う。色鮮やかに咲いた花が、雨に濡れてうなだれる姿は余り見たくはない。
カンナが熱帯原産であることは、良く知られたことであろう。次から次へと咲き続ける生命力の強さは公園などでよく見かける風景であるが、かと言って咲いた花が雨に強いわけでは決してない。
猛暑が続いているはずのこの時期にも関わらず、秋雨前線が停滞することによって異常な天候が続いた。まるで梅雨が繰り返しやって来たかのように線状降水帯が発生して大雨に襲われた。
8年に一度の好機を密かに期待していたペルセウス座流星群や織姫と彦星が出会う旧暦の七夕の夜空が見れるどころではなく、新聞紙上では大雨による悲惨な被害が連日のように報道された。
いつもは穏やかに流れている近くの川も大雨によって増水し、一時は橋を渡るのも恐怖を感じるほどであった。川岸に咲き誇っていたカンナの花も、凄まじい濁流に呑み込まれて姿が見えなくなっていた。
そのカンナの多くは、いつの頃からか種や球根が流れ着いて野生化したものであろう。河川周辺の環境の豊かさを表しているかのように、川岸のところどころで赤や黄、橙色の花を咲かせていた。
咲き終わった花を摘み取る「花がら摘み」がされないこともあって十分とは言いがたいが、散歩などで川沿いの道を歩いている時には夏らしい風景を楽しむことができていたはずである。
ところが、洪水の終わった川岸には、カンナの青い茎が重なるように倒れていた。カンナの開花期間は、6月から10月ごろまでとされている。カンナが再び花を咲かすのは、無理かも知れない。
