2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

(84)梅の実

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 梅雨入りの発表があった。昨年より27日も早い梅雨入りという。暦の上では6月11日が入梅(にゅうばい)となっていることや、平年より20日も早いことなどからもその異例さが際立っている。

 本来であれば、もっと大騒ぎをしてもおかしくないはずであるが、今はコロナ禍の対応でそれどころではないのであろう。異様に早い梅雨入りが、今後どのような影響を及ぼすかが心配である。

 たとえ、梅雨入りが早くなったとしても、遅くなったとしても、植物の成長にとって欠くことのできない重要な時期であることに違いはない。何よりも、その状況に応じた対応が必要となる。

 しかし、現在のように天気の予想が容易でなかった時代には、過去の経験や記録などに頼るしかなかったであろう。そのため、二十四節気や五節供(句)などの中国から伝わったものでは十分ではなく、日本独自の文化や気候風土の中から
生まれ育った雑節(ざっせつ)と呼ばれるものが重用される理由となっていた。

 雑節には、節分や彼岸、八十八夜などといった生活に密着した馴染み深いものが多くあるように、入梅もその一つである。入梅は立春から135日目にあたり、その日が梅雨の始まりとされている。

 農作業を行う目安となっていた入梅であるが、なぜこの時期をつゆというのか、なぜ梅雨と書くのかなどとにかく不明な点が多い。それぞれが諸説ある中でも正論となるものが見当たらない。

 取りあえず、芭蕉も「降る音や 耳も酸うなる 梅の雨」と詠んでいることから、梅雨を梅の実が熟すごろに降る雨としたい。また、梅の実や葉についた雨滴を目の当たりにすると、これが「つゆ(露)」に思えてくる。

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