コラム・エッセイ
(69)マガモ(真鴨)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
真冬の水辺では、多くの野鳥を観察することができる。近くに川や池があれば、わざわざ遠くまで出かける必要はないので、散歩がてら立ち寄ってみることをぜひお勧めしたい。
野鳥観察を楽しむために最も必要なことは、事故に遭わないことであろう。ほとんどの川の両岸には狭い車道があり、その道を走る車も多い。安全な場所で観察することが大切である。
また、整備されていない川岸は非常に危険でもある。ガードレールを乗り越えたり、水をためた堰(せき)に近づかないようにしたい。野鳥も人が近づくことを望んではいないはずである。
どうしても近くで見たい場合は、双眼鏡や望遠鏡を使用する方法もあるが、それよりも通常の距離で楽しんだほうが気持ちが良い。野鳥が驚かない距離を知ることも野鳥観察には必要である。
多くの水鳥の中で、最も親しみやすいのがマガモであろう。誰もが知るその姿は、遠くからでも見つけやすい。黄色いくちばしと深緑色に輝く頭部と、そして、カールした尾羽などが特徴である。
しかし、これらは繁殖期のオスだけの特徴であって、メスは地味で目立たない色をしている。興味深いのは、繁殖期が終わるとオスはメスと同じような地味な姿に変わることであろう。
非繁殖期の目立たない羽の状態のことを「エクリプス」と呼ぶ。「エクリプス」の本来の意味は、「除外する、捨てる」などであるが、中にはカルガモのように繁殖期と非繁殖期の変化が少ない種類もいる。
メスの気を引くために派手な衣装を着飾っておきながら、その必要がなくなるとさっさと脱ぎ捨てるように見えるところが面白い。人間と共通していると思うのは、勘ぐり過ぎかもしれない。
