2026年07月15日(水)

コラム・エッセイ

(88)半夏生(はんげしょう)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 庭の片隅で、半夏生の花が咲いている。間近に迫った暦の「半夏生」にふさわしいと言える光景である。その中で、半夏生の花よりも目立っているのが、絵の具を塗ったような白い葉であろう。

 その様子を観察してみると、白い葉は茎の先端部分の数枚に限られていることや茎から伸びる花柄(かへい)より上にあること、 花の成長に合わせるかのように茎側から徐々に白くなっていくことが分かった。

 葉が白くなる目的は、半夏生の花が昆虫によって受粉する虫媒花(ちゅうばいか)であることから昆虫を集めるためとされている。遠くから見えやすい場所が白くなる理由が良く分かる。

 白い葉は一見すると化粧をしているように見えることから、「半化粧」という別名がつけられている。「半」の意味は葉が白く変わっていく途中とも、葉の片面だけが白くなるからとも言われている。

 花が「半夏生」と呼ばれるようになったのは、この半化粧と語呂が同じであったからではないかと思われる。「半夏生」のころに、花が咲くことや葉が白くなることも好都合であったに違いない。

 しかし、「半夏生」の本来の意味は、暦の七十二候にある「半夏生(はんげしょうず)」で、半夏が生え始めるころをいう。その半夏は、半夏生とは別の烏柄杓(からすびしゃく)という草である。

 烏柄杓は、小さなヒシャクのような変わった形をした草で、かって田舎ではよく見かけていた。半夏と呼ばれるのは、地下茎(塊茎)が「半夏」という生薬に使われていたからであろう。

 最近では、半夏生と言えばこの花を指すようになって、本来の意味は失われるばかりである。7月2日(夏至から11日目)から5日間が、今年の「半夏生」にあたる。もう一度、その意味を考えてみたい。

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