コラム・エッセイ
(96)夏野菜
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
最近、野菜の価格が高騰している。キュウリの値段が8月上旬ごろと比べて3、4倍になっているとの新聞報道もある。そのほかのナスやトマト、オクラなども軒並み価格があがっているという。
スーパーマーケットの野菜売り場で確認したところ、並べられている野菜の量がいつもよりも少なくなっているように感じた。付けられた値札も、安価というにはほど遠いように思われた。
価格の高騰の原因となったのが、季節はずれの長雨による日照不足であろう。果実の成長にとって日射しがいかに重要であるかを、今までとはまったく違った意味で痛いほど感じることになった。
その理由として、この春から野菜作りを始めた初心者であることがあげられる。何の知識のないまま始めた家庭菜園は、作りやすい野菜を選んだこともあって思った以上の手ごたえがあった。
ミニトマトやキュウリ、シシトウ、ピーマンなどは、棚作りや水やりをする程度で、最盛期には食べきれないほど多くの収穫があった。気分的にも絶頂といっていいい時期だったかもしれない。
そんな有頂天な思い上がりを、現実に引き戻すほどの出来事が先の長雨であっただろう。毎朝、バケツいっぱいにあった収穫が、雨が続くにつれて日増しに少なくなっていった。
そして、ミニトマトは実が割れて腐りはじめ、ナスは実にカビが生えて落下した。レタスなどの葉ものは、成長が完全に止まった。なんとか晴れてほしいという願いも空しく、雨は降り続いた。
これほど野菜作りが天候に影響されることを、身をもって経験したことなど今まで一度もなかった。人はおごることなく、自然の恵みに感謝しなければならないことを、夏の野菜に教えてもらった。
