2026年07月15日(水)

コラム・エッセイ

(97)クサギの花

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 朝晩、ようやく涼しさが感じられるようになった。ところが、暦の上では9月7日の白露(はくろ)から仲秋(ちゅうしゅう)に入るため、すでに秋も中盤を向かえたころになっている。

 まだ残暑が厳しい中では、違和感があるのも当然かもしれない。実際の季節感と多少のズレがあるのは、暦の特質上から仕方がないことではあるが、暦の秋はすでに8月7日の立秋から始まっている。

 8月の猛暑の中で、秋だと言われても実感がわかないが、初秋(しょしゅう)という言葉を聞けば多少なりとも納得できるかもしれない。季節の変わり目は気づかないうちにやって来るものであろう。

 その初秋とは、立秋から9月7日の白露の前日までの間のことであり、そして、その白露から10月8日の寒露(かんろ)の前日までが仲秋となっている。

 ちなみに、寒露から11月7日の立冬(りっとう)の前日までを晩秋(ばんしゅう)という。ややこしいながらも、初秋、仲秋、晩秋の言葉には季節の移り変わりが深い味わいとして込められている。

 これらの基準となっているのが、二十四節気の立秋、白露、寒露、立冬である。中でも白露、寒露の二つの言葉が、外気が冷えて露が発生する時期の気象環境を的確に表しているように感じられる。

 白露が、露が白く光って見える様子を表していることは容易に想像することができる。また、白秋と称されるように中国で白い色が秋を表す色であったことが、別の意味を持つ言葉として印象付けられている。

 猛暑の中、ほのかな香りを漂わせながら咲き続けた白いクサギの花も、白露を向かえて終わりを告げつつある。やがて、晩秋のころには、赤紫色の萼(がく)に黒紫色の実が熟すであろう。

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