2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

(90)スッポンとアカミミガメ

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 どこかが違う。そんな疑問を感じたのは、晴れ間が続いていたある日の午後のことであった。梅雨らしくない静かな川の流れの中で、浅瀬にあがって甲羅(こうら)干しをする一匹のカメがいた。

 かつては、多くのカメを普通に見ることができたような気がするが、最近では見かけることがめっきり少なくなっている。どこか懐かしい風景に思わず足を止めて、しばらくの間眺めていた。

 ところが、動くことなく日向ぼっこを続けるカメをよく見ると、鼻先が極端に細くなっていることや、甲羅(こうら)に模様のようなものがないことなど普通のカメとは違っていることに気がついた。

 確たる証拠があるわけではないが、これらの特徴から考えると、カメは日本固有種のイシガメではなくスッポンと思われる。その大きさから、かなりの年数を生き抜いてきたものであろう。

 スッポンと聞けば、すぐにスッポン鍋などの高級料理が思い浮かべられるように、貴重な食材として捕らえられることも多いに違いない。こうして、日中に姿が見れることも珍しいような気がする。

 カメが甲羅干しをする目的は、体温を上昇させるためや皮膚にカビや寄生虫がつくことを予防するためなどと言われている。白昼堂々と行われている大胆な行動も必要不可欠だからこそであろう。

 ウロコの代わりとなる角質甲板がなく、柔らかい甲羅を持つスッポンも甲羅干しを必要とすることに変わりはない。狩猟する人によって、命が狙われることがないことを願うばかりである。

 別の日にスッポンの様子を見に行くと、種類の違うカメと並んで甲羅干しをしていた。手前にいるカメは、かつてミドリガメとして売られていた緊急対策外来種のアカミミガメである。

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