2026年07月15日(水)

コラム・エッセイ

(91)里芋(さといも)の葉

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 七夕に降る雨を、催涙雨(さいるいう)と言う。その意味は、一年に一度だけしか会うことができない織姫と彦星が、雨によって天の川を渡ることができなくなったときに流す涙のことと言われている。

 それにしても、七夕の日の天気は曇りや雨の日が多すぎるような気がする。梅雨の時期であれば仕方のないこととも思えるが、七夕の日が旧暦の7月7日であったことを知ることで納得できる。

 中国から伝わった五節句は、季節の変わり目に邪気をはらう目的で始まったもので1、3、5、7、9の奇数が重なる日が選ばれていた。しかし、明治に入り新暦に改暦された時に五節句は廃止される。

 それでも、五節句は季節の行事として続けられてきたため、改暦による季節のズレをそのまま受けることとなった。毎年変わるズレ幅は、国立天文台の「伝統的七夕」で知ることができる。

 それによると今年の旧暦の七夕の日は、8月14日となっている。この頃であれば、織姫星のベガと彦星のアルタイルが天の川をはさんで夜空に輝く光景を、かなり高い確率で眺めることができるはずである。

 また、七夕に飾る五色の短冊は、蓮(はす)の葉にたまった夜露で墨をすり、願い事を書いて上達を祈願していたものと伝えられている。それは習い事の心得を、夜露を集めるほどの努力に例えたものであろう。

 蓮とも里芋とも言われている葉によって、実際に夜露を集めることができたかどうかは不明であるが、七夕が雨の多い梅雨の時期になったことで本来の習い事の心得は失われたのかもしれない。

 降りしきる雨を寄せつけないまでの里芋の葉の撥水力は、成長にするにしたがって傾くことによってさらに磨きをかけていく。それでも、里芋の葉にたまった水滴は「天の水」の輝きを放っている。

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