2026年07月15日(水)

コラム・エッセイ

(17)山頂の石(下松市瀬戸)

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 下松市瀬戸の大将軍山頂からの展望は、すばらしい。南側には下松市内の風景が広がり、日立製作所や東洋鋼鈑、ゆめタウン下松や市街地、中国電力の発電所や徳山競艇場などが見える。

 笠戸湾を中心とした風景では、笠戸島の笠戸大橋や鎌石岬、カツネ崎、周南市大島の太華山、八合山、さらに港に停泊する貨物船や行き交う漁船などが確認できる。

 南側と同様に、北側の風景もすばらしい。温見の集落やダム湖、烏帽子岳や物見ヶ岳、馬糞ヶ岳などが続く。急坂を登る県道41号下松鹿野線の先には緑山と金峰山が重なっている。

 大将軍山の余り気付かれることのないもう一つの魅力が、山頂の石柱「徳山要港境域標」に秘められている。要港とは日本海軍の重要な港のことで、徳山港は昭和13年に指定された。

 その要港を防衛するために周辺の山々には多くの軍事施設があった。現在では戦争遺跡として残されているが、そのほとんどが樹木におおわれているため現地から位置関係を把握することは難しい。

 その中でも、特に難しいと思われるのが聴音機、指揮所、探照灯跡が残る鷹ノ泊山や杉ヶ峠防空砲台跡がある大ヶ原山であろう。これらを間近で展望できる場所として大将軍山は貴重と言える。

 そして、もしも西側の視界が開けていれば、旧海軍燃料廠の場所や戦争遺跡がある大津島、昇仙峰、境域標のある四熊ヶ岳、若山が見えるのではないかと期待がふくらむ。

 関係者の努力により登山道、標識がしっかり整備されているため非常に登りやすい。山頂の小石は、持ち帰ることなく記憶にとどめた。

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