コラム・エッセイ
(2) 萩の花(光市室積)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
九州がはっきりと見えた。何度かこの地を訪れているが、これほどはっきりと見えたのは初めてである。室積の海岸から視線を先に伸ばすと、三角形をした姫島があり、さらにその向うに九州が横たわっていた。
国東半島の両子山に続く一段と高い山並みの頂きが大分県の由布岳であろうか。視線をさらに東に移せば、祝島の先に四国の佐田岬までもがのぞいている。偶然のめぐりあわせに、感謝したい。
けっして高い山でもなく、車で登れる高度約160メートル程度の展望台から九州や四国が見えることは驚きである。その驚きにかき消されるかのように、眼下には絶景ともいわれる室積の風景が広がっている。
峨嵋山や象鼻ケ岬、御手洗湾などは余りにも有名で、今さら取り上げる必要もないだろう。それよりも初秋にふさわしい風景として、コバルトラインに咲く萩の花を取り上げたいと思った。
ところが、時季が多少早すぎたのか、期待していたはずの花が見当たらない。やっと萩の平展望台まで進んだあたりで、わずかに咲く萩の花を見つけることができた。
コバルトラインは光市戸仲と梶取岬を結ぶ約14キロの山道である。千坊山や大峯山を縦走するため、急なカーブや狭く危険な場所が多くあり、全区間を走破するにはそれなりの覚悟が必要である。
「市民の森案内図」によるまでもなく、各所に見どころのある魅力的なコースに違いないが、自動車であれば冠山総合公園から入り、萩の平展望台で引き返すのが無難かもしれない。
萩の花はマメ科の落葉低木で、尾花(すすき)や葛花(くずのはな)などとともに秋の七草の一つである。
