コラム・エッセイ
(29)へび(蛇)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
へびを見た。白昼堂々とアスファルト舗装の道路をゆっくりと横断しているへびを見た。周囲を警戒することもなく、これだけ無防備な状態でいれば襲われる危険性も高いのではないかと心配になった。
よく見ると、威圧感や恐怖心を与えない美しい姿かたちをしている。ただ、しっぽの先に違和感があるのは、もしかすると切れたからなのかもしれない。すでに何らかの危険な状況に直面したのだろうか。
へびは、敵に襲われたとしてもトカゲのように自らしっぽを切り離す自切(じせつ)ができないらしい。しかし、小学生のころ石垣に逃げ込もうとするへびのしっぽを引っ張ると、切れたような記憶がある。
あれが自切でなかったとしたら、残虐な行為を大いに反省しなければならない。また、トカゲのしっぽは自切したあとで再生するらしいが、へびのしっぽは再生することがないとされているだけに罪は深い。
それにしても、小さな頭部からあれだけ長い体をコントロールするのも大変であろうと思う。時にはとぐろを巻いたり、木に巻き付いたりしたい気持ちもへびならずとも何となく理解できるような気がする。
へびの種類には、有毒のマムシやヤマカガシ、無毒のアオダイショウやシマヘビ、ジムグリ、ヒバカリなどがある。それぞれの種類にはそれぞれ違った特徴があるが、正確に見分けることは非常に難しい。
このへびは、「嚙まれたらその日ばかりの命」と言われていた無毒のヒバカリと思われるが、特に注意が必要なのは有毒のマムシであろう。素人が判断するのではなく、へびに近寄らないことが大切である。
無事にアスファルト舗装の道路を横切ったへびは、やがて深い藪に消えていった。どこに行ったのか、その行方は知れないが、神様の使いと言われるへびのしっぽが無事に再生されることを願っている。
