コラム・エッセイ
アジサイ(紫陽花)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)アジサイの花が咲いている。梅雨時期の風景によく似合うその花の姿は、公園や民家の庭先だけではなく、道端や河原などあらゆるところで目にすることができる。そして、何より驚くのは、その種類の多さであろう。
別名「七変化」と言われるほどに花の色が変化するのは、よく知られていることであるが、それだけにとどまることはない。アジサイの花そのものの色も、赤、白、青、紫などありとあらゆる色にまで及んでいる。
さらに色に加えて花の形までもが、多くの種類に分かれている。まさに多種多様と言える。わかりにくいかも知れないが、これら(アジサイ科アジサイ属植物)の一部の総称として、アジサイの名前が使われている。
そのアジサイの中で代表的なものが、普通に見ることができるホンアジサイやアジサイの原種とされているガクアジサイであろう。その他にも、ヤマアジサイやセイヨウアジサイ、ノリウツギ、アナベルなどがある。
これら多くのアジサイは、それぞれが特徴的な形をしているので簡単に区別することができる。しかし、中にはガクアジサイとヤマアジサイのように外見が非常に似ているため、判別することが難しいものもある。
いずれのアジサイにも共通しているのは、一般的に花と思われている部分が実際には花ではないことである。そこまで正確である必要はないかも知れないが、知る事によって楽しみも一層深まってくるような気がする。
花のように見えて花ではない部分は、萼(がく)と呼ばれるもので、花弁状に見えるため「装飾花」と言われている。それにしても、花以上に花らしく見えるだけでなく、花以上に美しいのは不思議と言うほかない。
見る者を魅了し続けるアジサイの花であるが、常に品種改良されているため新しい品種が次から次へと誕生している。「ダンスパーティー」もその一つで、装飾花がまるでダンスをしているように華やかである。