2025年10月08日(水)

コラム・エッセイ

(84)枝豆

続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 枝豆を収穫した。満足できるものとはとても言えないが、それでも予想をはるかに超える出来であった。枝豆を植えるきっかけとなったのは、店頭に並べられていた苗を偶然立ち寄った販売店で見つけたことによる。

 もともと枝豆を植える予定があったわけでも、今まで栽培した経験があったわけでもない。枝豆は専業農家によって大量に作られるものと勝手に思い込んでいたので、自分で作ってみたいとは思ってもいなかった。

 ところが枝豆と書かれた小さな苗を見ていると、もしかしたら自分にもできるのではないかという淡い期待が浮かんだ。さらに、万が一枯れたとしても諦めることができる程度の値段であったことにも後押しされた。

 狭い菜園の片隅に植えた枝豆は、その後手入れすることもなく放置したままになっていた。気づいた時には、すでに収穫時期がきていたらしく、茎についた莢(さや)は、枝豆の成長が感じられるほどにふくらんでいた。

 かって枝豆は、大豆として成熟する前の緑色の実が市場に売り出されていたが、最近では枝豆のための品種が開発されているらしい。今回購入した苗がどうであったかは不明であるにしても、良い苗に違いなかった。

 大豆と言えば、日本の食生活に欠くことができない主要な食材である。たとえば、みそ、しょうゆ、大豆油、納豆、豆腐などがあるが、さらにこれらを原料とした加工品を加えればあげればきりがないほどになる。

 それにも関わらず、大豆が栽培されているところを見ることは非常に少ない。米とは大違いであることを表しているのが、わずか6%という自給率の低さであろう。その数字が、危機的状況にあることを物語っている。

 どうあがいたところで、個人の力でどうにかなるものではないことは明らかである。遅きに失した感は否めないにしても、今後の自給率向上に期待したい。それまで、たとえ少量であっても枝豆を作ってみようと思う。

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
ピアレックス

遺品整理でお困りではないですか?県内出張見積は無料!不動産売却や空き家じまい(解体)もお気軽にお問い合わせください。

スバル合同会計 周南事務所

相続時や建物の購入売却時の相続税・資産税のご相談。
大切に育てた事業の譲渡や事業の拡大にむけて、複数の専門業者との提携で、お客さまの求める結果を一緒に目指します。

西京銀行

【取扱期間 2025年9月1日~2026年3月31日まで】お預け金額10万円以上。手続き不要!さいきょう定期預金の金利で満期後自動継続。詳細は西京銀行までお気軽にお問い合わせください。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。