コラム・エッセイ
(85) ルドベキア
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)今の時期は、草木の成長が異常に早い。そのため、いつもより除草作業の回数を多くする必要がある。雨降りや大儀さなどを言い訳にして、少しでもその間隔を長くすると取り返しがつかない事態を招くことになる。
生存競争が激しい雑草の世界では当然のことであろうが、より強いものが勝ち残っていく。日光があたる優位な場所を奪い取ったものが勝者となって君臨していくところは、人間社会とほぼ共通するものに違いない。
それらを象徴しているとも言えるのが、2メートル近くにまで成長するオオアレチノギク(大荒地野菊)であろう。荒れ地や道路わきなどで普通に見られるが、驚くことに南アメリカ原産で昭和初期に帰化した新入りである。
さらに、厄介なのがカラムシである。カラムシという名前は、茎の硬い皮を蒸して繊維をとっていたことから茎蒸となったと言われる。かって栽培されていたことがあったからであろう、いたるところで繁殖している。
そのカラムシは、繊維に利用されるだけあって皮の部分がかなり丈夫であり、除草作業中に刈払機に巻き付くなどの大きな障害となっている。その傾向は成長するにしたがって顕著となり、ついには木質化していく。
迷惑者のようなカラムシであるが、手芸品や草木染めの材料として利用できるだけでなく、若い葉の部分は食用にもなるらしい。まだ一度も食したことはないが、それより木質化する前に処分することが先決であろう。
休耕地の外部から侵入するチャンスを虎視眈々と狙っているのが、最も厄介なクズ(葛)である。地を這いながら伸びてくる芽は、除草作業の手を煩わせる最強の敵となる。侵入するスキを与えないことが、必要である。
その他にも、イノコヅチやヒメジョオン、ツユクサなど敵は多い。そんな中、ルドベキアの花を前にして手を止めた。はびこる花を、雑草と一緒に刈り取るべきか、そのままにするべきか、迷いは今も続いている。
