コラム・エッセイ
(98) 朝月夜(あさづくよ)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
最近、空を見上げることが多くなった。季節の澄みきった空気が、空をより美しく見せているからかもしれない。あるいは、歳を重ねたことによって、空を見上げるだけのゆとりがもてるようになったからであろうか。
日中には、すべてを包み込んでくれるような青空が、連日のように広がり、久しぶりに爽快な気分を味わうことができた。そして、夜になれば、9月29日の「中秋の名月」頃から、月をめでる古くからの慣習が始まった。
「中秋の名月」は、旧暦8月15日の夜に見える月のことであるが、驚いたことに十五夜が満月であるとは限らないという。今年は一致していたが、来年からしばらくズレた年が続き、次回一致するのは7年後となる。
その原因となっているのが、月の軌道が楕円形であることらしいが見た目を気にするほどの影響はないかもしれない。月見といえば「中秋の名月」だけではなく、約一ヶ月後の「十三夜」を忘れてはならないだろう。
十三夜は、毎月13日の夜のことであるが、その中でも特に旧暦9月13日の夜のことを「十三夜」という。今年は10月27日が「十三夜」にあたっていたが、あいにくの雨によって「お月見」をすることができなかった。
「中秋の名月」の「前の月」に対して「十三夜」は「後の月」や「後の名月」といわれている。二つの月を「二夜の月」、お供え物から「中秋の名月」を「芋名月」、「十三夜」を「栗名月」や「豆名月」ともいう。
また、「中秋の名月」と「十三夜」を同じ場所で見る風習があることから、どちらかが見れなかったり違った場所で見た場合には、「片月見(かたつきみ)」や「片見月(かたみつき)」として縁起が悪いこととされている。
それでも、翌日の十四夜には、晴れ渡った夜空に待宵月が美しく輝いていた。そして翌々日、朝焼けに照らされた明け方の西の空には、白い満月が浮かんでいた。明け方の空に残っている月を朝月夜、有明の月という。
