コラム・エッセイ
[周南新百景](73)大道理鉱山跡(周南市大道理)
続々周南新百景 / 再 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
水石(すいせき)とは、室内で鑑賞する自然石のことである。石は水盤と呼ばれる陶器に水を張った中に置いて鑑賞する。水のかわりに砂を敷くこともあれば、木製の台座に直接置くこともある。
石の種類には、山水景石、形象石、紋様石、色彩石などがあるとされている。それぞれの名前が表す通り、石の形に山や滝を想像させるものや,動物や仏像などに似たものや,花などの紋様があるもの、色の美しいものなど多種多様である。
その歴史は古く、南北朝時代から始まったと言われ、水石を巡る逸話には後醍醐天皇や織田信長、豊臣秀吉、徳川家康など多くの歴史上の人物が登場する。水石がいかに広く愛玩されていたかを物語っている。
中にはすでに名石として価値が認められたものもあるが、本来は山や川、海などにころがっていたものである。その中から愛着のあるものを探し出すことも楽しみの一つと言われている。
最近では蛇紋岩を知る人も少なくなったに違いない。蛇紋岩はその文字が表しているように,岩の表面に蛇の模様が見られるものである。その怪しくも魅力的な輝きは、水石としても重用されていた。
周南市大道理にあった鉱山では、昭和17年から24年頃まで、その蛇紋岩をはじめ滑石、緑閃石、ブルース石などを産出した。
国道376号線沿いに、一軒の廃屋が建っている。現在では見ることができなくなった珍しい草ぶきの民家である。残念ながらすでに崩壊が進み屋根の一部が抜け落ちていた。その姿に、鉱山の跡が重なって見えた。
