コラム・エッセイ
三隅公園
ちょこっと豆知識 立入塾浜田市三隅町の三隅神社脇にある小高い丘が三隅公園です。少しばかり急な坂道をゆっくりと登っていくとそれほど広くない空き地があり、ベンチと藤棚が申し訳なさげに佇んでいます。そこから振り返るように登ってきた坂道に目をやると、三隅の町並みと遠くに日本海を望むことができますが、絶景と言えるほどのものではありません。公園の主役の1つは、そこから更に上の斜面に広がる約千本の梅林です。咲き誇った梅林の中の小径を進んで行くと漂う梅の花の香で、花は桜ではなく梅だと思ってしまいます。
そんな梅の花を毎年楽しみにしていますが、今年は花とのタイミングが合わず二度ばかり公園を訪れました。タイミングを見計らって出かけた一度目でしたがフライング気味で、翌週二度目の訪問で満開に当たり溜飲が下がる思いでした。ここ数年梅の花に誘われて、がんばって公園の坂道を登っているのですが、梅林に向かう坂道沿いに植えてある手入れの行き届いたツツジがいつも気になっていました。そして今年こそはと三度目の訪問を5月の連休にして来ました。
約5万本、中国地方屈指のツツジの名所と言われる通りの圧巻です。どこまでも続く赤と白とピンクの壁は、登りなれた坂道を幻想的な小径に変えていました。梅もさることながらツツジのすばらしさには声を失います。梅とツツジ甲乙つけがたいのですが、お勧めはツツジとしておきます。
さて、少しばかり町の歴史を。鎌倉時代初期、益田を治めた益田氏の分家が三隅の地に移り三隅氏と名乗ります。鎌倉時代末期には後醍醐天皇に従い南朝方に付き、北朝方の益田氏と対立します。室町時代、益田氏が陶晴賢と組んで攻め込んでくると、毛利元就と結んで対抗します。しかし、その後毛利氏と対立し、ついに1570年毛利方の吉川氏に攻められ滅亡してしまいました。
そんな三隅町を訪ねていると、下克上を題材に陶晴賢主演の大河ドラマを福田靖氏の脚本で見てみたいと、ふと思いつきました。ナレーターは伊東敏恵氏で。
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