コラム・エッセイ
No.3 9月17日(土) 「学費を気にせず勉強できます」 医師、薬剤師の卵19人に奨学金
ベトナムは今 コロナ禍を乗り越えて(9月16〜20日) 記者・IMAYA理事 山上 達也ベトナムの夜は遅いが、朝は早い。街は多くの店が夜遅くまで開き、朝は早くからバイクのけん騒が響く。
朝食はホテルのレストランでバイキング形式。ベトナム風の米粉のめん「フォー」やオムレツはコックさんが目の前で調理してくれる。
きょうはIMAYAにとって重要な日。IMAYAがフエ医科薬科大学の医学部生や薬学部生の「IMAYA奨学生」に供与する今年度分の奨学金を日本円の現金で渡す日だからだ。
IMAYA奨学金は奨学生1人当たり年間200米ドル(約3万円)を、会員有志が負担する「草の根の医療支援」だ。これまではIMAYAが取りまとめて窓口の同大学のOGCDC(遺伝カウンセリング障害児基金)の銀行口座に送金してきた。
ところが近年は金融機関によるマネーロンダリング規制が強化され、送金手続きが次第に複雑になってきた。
それでも昨年までは金融機関に趣旨を説明して送金できたが、今年はついに困難になった。そこでやむを得ず、日本円の現金をツアーの4人が手分けをして現地に持ち込む形にした。
日本出国時に1人当たり100万円以上の現金を持ち出す場合は税関に申告が必要だが、今回の持ち出し額はそれをはるかに下回る。ベトナムの入国時の外貨持ち込みも制限はなく、5千米ドル(約73万7千円)を超える場合も申告をすればいい。こちらも手続きは必要ない。
しかし自分のお金ではなく、あくまで未来のベトナムの医師や薬剤師の卵たちのための貴重な奨学金だ。4人は奨学金を肌身離さずに、自分のお金よりも大切に持ち込んだ。
ちなみにベトナムの大学の学費は国立大の医学部や薬学部の場合で年間約20万円。学生にとって約3万円の奨学金は、学費をまかなう貴重な財源だろう。
朝食が終わると、その奨学生たちとの面会や奨学金の供与のためOGCDCが運営しているフエ市内のロータスハウスに向かった。
ベトナムは9月から新学期で、勉学の意欲に燃える奨学生19人のうち13人が集まってくれた。奨学生には「NORIKO FUND」「YANO FUND」など寄付者の名前を冠して奨学金を供与しており、奨学生にそのフリップを手にしてもらった。
奨学生たちは岩本功IMAYA理事長ら我々に「奨学金のおかげで学費を心配せずに勉強に専念できる」「近い将来、立派に医師になって祖国の生命と健康を背負いたい」と意欲いっぱいの決意や感謝を述べた。
筆者も「TATSUYA FUND」で医学部女子学生を、家内は「MIYUKI FUND」で薬学部女子学生に奨学金を供与しているが、きょうは残念ながら2人とも隣の省の故郷のゲアン省に帰省のため欠席だった。筆者と家内からのメッセージをOGCDC責任者のアンさんに託した。
会員の森政潤子さんも「JUNKO FUND」のグエン・ティ・ハウさんに初対面。互いに抱き合って「これからも頑張ってね」「ありがとうございます」と英語で言葉を交わしていた。
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IMAYA奨学生と岩本理事長(左端)ら
オムレツを調理中のコックさん
自らの奨学生(左)と初対面した森政さん
