コラム・エッセイ
親不知を目指す⑩
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修それにしても連日の尋常でない暑さには参る。ひと昔前は30度を超えれば「きょうは暑いのー!」とぼやいていたような気がする。子どもの頃から日本の最高気温は山形県の40.8度。最低気温が北海道の氷点下41度というのは知っていたが、いずれも生まれるよりずっと前のことであり、何十年も更新されることはなく特異な現象であり他人事くらいに思っていた。
ところが、各地の最高気温は近年になって更新され続け、つい先日(8月17日)静岡県浜松市で歴代最高気温に並ぶ41・1度を観測したというではないか。
しかもここ数日の天気予報では山口市では気温が40度近くまで上がるなどと、空恐ろしいことを言っている。これが珍現象であれば教科書に載るかもしれないが、北海道でさえ35度を超えるなど、日本中いや世界中が恒常的に高温に喘ぐ事態となってしまった。
外仕事も午前中は何とか持ちこたえられるが、午後の直射の中となると「熱波、熱風の中」という例えが大袈裟ではない状況となり、気力、精神力を振り絞ってしても耐え難い。とはいえ、冷房の利いた部屋で机に向かっていれば良いという身分でもない。せめて日陰をと探しても、こちらの都合通りにはならず、結局は「熱波、熱風」の中に気合を入れて出るしかない。連日のように熱中症で救急搬送されるというニュースを耳にするが、やはり他人事だと聞き流していた。明日は我が身かと本気で思う。
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しばらくお休みだった「親不知を目指す」は、ずいぶんと遠回りをした上に、最後は愚痴になってしまったが、ようやく元に戻ろう。
たしか、入山口の白馬村に前泊のために午後遅くに到着したことまで書いていた。
若い時から衣食住にはこだわりが無く、寝られれば良し。腹が太れば良し。寒く無ければ良し。という生活をしている。1泊うん万円という宿も確かにサービスも食事も上等だろう。でも、酒でも飲んで目をつむればテントでも車中泊でも同じだと、本気で思っているので、どうももったいない。浮いた分で酒でも飲めれば尚良い。
さすがに道端でテントという訳にもいかず、出発前にネットで安宿を探していたら2食付き、さらに飲み放題もついて7千円というのを見つけた。
白馬村といえばかつてのスキーブームは去ったというが、今でも冬はスキーのメッカだ。そんなスキー客、しかも若者相手の宿だろうか。改築、増設を繰り返したようで何とも複雑な構造で、なんとなく昭和を感じさせる。ホテルというよりは合宿所のイメージだが、明日からのテント暮らしを思えば極楽。極楽。
部屋に入ったらまずは荷物整理だ。出発前にザックに道具類を放り込んだままだ。飲んでしまったら「明日があるさ!」になるのは分かり切っている。
連日の尋常でない暑さには参る
ホテルというよりは合宿所のイメージだが…極楽、極楽
