2025年11月09日(日)

コラム・エッセイ

7月豪雨から思うこと② 〜「何が普通だったのか」

おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修

 今年の梅雨は九州から東北まで全国各地で甚大な被害を出した。ニュースを見ていると山形県から秋田県あたりに居座る前線が、過去に例がないほど雨を降らしていると報じている。この辺りに住む友人たちの顔が脳裏をかすめる。

 秋田の大潟村に住むT君は大丈夫だろうか?もともと低標高(マイナス3メートル)の干拓地で、排水こそが命という土地柄だ。おそらく気をもんでいるだろう。ちょっと電話してみようか…いやいや、中途半端な時候の挨拶なら妨げになるだけだ。

 でも気になる。メールなら一息ついた時に見ればいい。「雨、大丈夫?」とだけ打った。返事は期待してなかったが、ほどなくして「雨が降っているのは県南のほうなので、村は小雨程度。山口のほうこそ長雨で大変じゃないか?」と、逆にこっちを心配して返信してきた。やれやれ無事なようで一安心。こっちは大きな被害はないし、何とか無事に梅雨明けを迎えられそうだと返したが、もうしばらく東北地方で降り続く雨に予断は許さない。

 山形県酒田市のI君も気になる。庄内平野を流れる最上川も増水しているようだ。そもそも庄内平野の成り立ちは、最上川が運んできた上流からの土砂などが堆積したからだと聞いた記憶がある。米作りの歴史も最上川からの用水路あってのものだ。

 逆に言えば人が制御できる雨量なら大いに恵みとなるが、それを超えれば…。短くメールで様子を尋ねる。しばらくしてI君から電話がかかってきた。「こっちの雨は大丈夫だけど、内陸はかなり降っているみたいで、時間が経ってからさらに水量が増えるかも」と状況を教えてくれた。

 「それよりも、きょう草刈りの最中に自分の足を切ってしまった」と、背中がゾクッとするような話をするではないか。一瞬の間に、草刈り機の事故と言えば最悪は足の切断もある。ひょっとして足が短くなったか…と、想像したが、そんな大けがなら電話どころではないだろうに。話を詳しく聞いてみると、運よく?親指の爪辺りに刃が触れたようで、爪がはがれた程度で済んだようだ。それでも包帯をぐるぐる巻きにされて、しばらくは車の運転もできないと嘆いている。でも、それなら軽傷だ。いや、これこそかすり傷ではないか。その程度で済んで良かった。良かった。

 それよりも、これからまだ上流で降り続くなら氾濫の可能性もある。いざという時はカアチャンの運転で逃げられる準備をしておかないと。まあ、こまめな嫁さんだから、言われなくてもやっているとは思うが…。

 それにしても異例尽くめの梅雨だった。新聞やテレビで「観測史上初めて…」「数十年に一度…」「経験したことがない…」こんな言葉を連日のように見聞きした。さらに、これからは、これがスタンダードになるだろうというではないか。そうそう。7月で台風が発生していないのも異例とのこと。毎年。いや日々異例尽くめで、何が普通だったのか分からなくなってきた。

大潟村村は-3mの低標高で、排水こそ命という土地柄だ

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