コラム・エッセイ
今年の初登山2020①
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修毎年の正月に山に登るのは数十年続けている。対象の山は近くの山だったり遠征もあったりで特に決めてはいなかった。時には大晦日からテントを担いで入山し山中で数泊することもあった。ところが、ここ10年ばかりは鳥取県の伯耆大山に固定化している。元日の夕方に自宅を出て、深夜にふもとに着いて車中泊。翌朝から登り始めて午後早くに下山。夕方遅くに帰宅するというパターンだ。
実は山口県民でありながら鳥取県の山岳会の一員となって久しい。この会は日本山岳(スポーツクライミング)協会に加盟し、登山技術の普及や安全登山への啓発も行う由緒ある組織でもある。冬山シーズンやゴールデンウィークには鳥取県警のお巡りさんと一緒に山岳パトロールをするなど公益的な活動にも積極的だ。構成員には鳥取県いや日本の山岳界でも名の通ったお歴々が名を連ね、本来ならただ山好きなだけのオッサンなど畏れ多くて近づけないのかもしれないが、無知と図々しさで他人の座敷に上り込んでいるというのが本当のところだ。ましてや酒の席にだけは積極的に顔を出すという不良会員でもある。
こんな他県からの押しかけといういびつな関係の立場ではあるが、長く会員を続けていると多少は発言力もついてきた。今回の正月登山も自分からこの会のメンバーに声掛けして参加者を募ったものだ。最近はメールなどで連絡を取り合うのが当たり前で、昨年の暮からやり取りをして参加希望者6人が手を上げた。「言い出しっぺ」となると集合場所や時間などをあれこれ調整する責任もあるが、大よそメンバーの力量は分かるし、何より他のメンバーにとって伯耆大山はホームゲレンデだ。こっちがあれこれ算段しなくてもパッパと決まっていくのが心地よい。
本格的な雪山は、昨年の3月以来だから実に9カ月ぶりとなる。数日前から今季初の雪山登山に出かけることから、しばらく出番の無かったピッケルやアイゼンといった雪山専用の道具類の準備をしながら年寄りでもワクワク気分だ。
正月2日の午前7時過ぎにふもとの駐車場に参加予定メンバーが集まってきた。この時期は登山口の大山寺は駐車料金が1日1台千円かかるので各自で移動するのは不経済だ。出来るだけ乗り合わせで行くというのも不文律となっていて配車もさっと決まる。後部座席を折りたたんだ車中泊仕様の山口ナンバーのボロ車がメンバーの荷物運搬車となる。
この近年は大山の雪が少ない。例年なら標高700メートルの大山寺周辺は1メートル以上の積雪で、駐車場周辺は除雪した雪が数メートルの高さまで盛り上がっているが、今年は半分路面が出ているほどだ。正月は稼ぎ時でもあるスキー場も開店休業状態という。何でも2日前の大晦日に降った雪でかろうじて一部のリフトが動いている程度だというではないか。登山口から雲の間から見上げる山は白く雪景色ではあるが、果たしてどんな状態だろうか?

酒の席にだけは積極的に顔を出すという 不良会員でもある

登山口から雲の間から見上げる山は白く雪景色ではあるが…
