コラム・エッセイ
今年の初登山2020②
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修登山口近くの駐車場に着いて車から降りた瞬間すぐに出発準備だ。これも勝手知ったメンバーぞろいならで、何もかもが段取り良く手早いのが心地よい。各自の口は世間話など好き放題だが、手は効率よく動いてものの5分もあれば靴を履き替え、ザックを背負って出発準備完了となる。
これがかき集めのパーティーで山に入るとなると、集合してから歩き始めるまでの無駄な時間が長すぎる。もちろん当人にとっては大事な準備作業なんだろうが、こんなことは家で済ませてくるものだろうに…。と思うことも多い。
中にはザックから大量の食べ物や衣類を引っ張り出して「これ、持って行ったほうがいいかねえ?」と周りにお伺いを立てる人もいる。その人が初めて山歩きに出かけるのならわからないでもないが、長くやっている人でも平気でそんなことを言う。これは山への向き合い方の問題だ。
持論だが、山歩きに必要な物や食料などといったものは各人の体力や、耐性力で違ってくる。寒さに強い人は薄着で済むが、手指など抹消の血の巡りが悪い年寄りは重厚な手袋が必要だろう。エネルギー補強も嗜好があり、飴で済ます人もいればがっつりとおにぎりやパンを頬張る人もいる。水分も魔法瓶で熱いお茶やコーヒーを飲む人もいれば、冷たい水だけの人もいる。
何より必要以上のものを持てば重くかさばり体力を使う。軽快さを求めるなら不要な物は持たないことだが、快適さや便利さは我慢となる。それらを各自の体力などとの駆け引きで試してみることこそが山歩きの醍醐味のような気がする。
今回のメンバーの属性はどちらかというと年寄りの部類で、社会の縮図そのものだ。その分山歴が長く山への向き方もそれぞれで面白い。すでに還暦を過ぎたKさんは「今回はボッカ訓練だ」といってあえてザックに物を詰め込んで負荷をかけるという。Yさんは体作りのためにトレールランニングの大会に出ると直近の出場大会を披露し、山歩きを“修業〟と例える。他にもランニングを続けているという人もいる。
こうして山を楽しく長く登り続けるための体を作りを心がけたり、段取りなども工夫しているのが素晴らしいではないか。
言うなれば、今回の正月登山が本番ではなく、それぞれが持つさらなる大きな目標のためのトレーニング登山とも言える。とはいえ、山をグループで登るときは自己主張だけでは皆が面白くない。
きっとトレラン選手はペースを落としただろうし、ボッカ訓練とはいえ皆に遅れまいといつもより息を弾ませていたことだろう。今回もそれぞれのスタイルで山に向き合う姿を見せてもらった。
そうだ。山にゴールなんて無いんだ。一つの目標を達成した先にはまた新たな目標が現れる。そのために山を歩き続けているんだ。正月だからコタツに潜り込んでテレビの番人でも許されるかもしれないが、こうした真摯に山に向かうメンバーの姿から年頭にふさわしい刺激をもらった。

山歩きに必要な物や食料などは各人の体力や、耐性力で違ってくる

今回はボッカ訓練だといってあえて負荷をかける


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