コラム・エッセイ
今年の初登山2020③
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修もう2月も半ばを過ぎる。異常なほどの暖冬だ。例年なら年末からこの時期は大雪が何度か降って山間部の国道には除雪車が入る。思わぬ低温に油断して水道管の凍結騒ぎも多いが今年はそれがない。先日、周南に大雪注意報が出た。いよいよこれまで天に溜まった雪がドーンとまとめて降るのかと覚悟を決めたが肩すかしだった。
遊び人には都合がよいのかもしれないが、山に雪も無く、ダムの底が見え始めるのを目の当たりすると春以降の水不足で農作物などへの影響が気になる。それ以上にこのままの高温現象が夏まで続けば猛暑、酷暑を超える空恐ろしい事態となるのではないかと心配だ。
巷(世界)では新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。日本でも沖縄から北海道まで全国で感染者が出ている。しかも感染経路も特定できない市中感染となると、もはやいつどこで感染してもおかしくない状態だ。グローバル社会こそが人類繁栄の処方箋だと、地球規模で物や人が大量に往来する仕組みを享受してきた我々への警鐘とも思える。昨今話題のCO2濃度と気候変動の因果を証明する知識も自信もないが、多くの人達は頭の片隅であながち否定はしていないのではないか。
なら、お前は人に恥じない生き方をしているのか?と問われても自動車に乗り、スマホやパソコンがあって当たり前。風呂の燃料は薪で自給しているとはいえ、チェンソーや運搬車に大量の燃料を食わせてのことだ。今羽織っているジャンバーも、品薄ながらようやく手にしたマスクもタグを見れば製造国は海外だ。これではどう考えても言い逃れなどできそうもない。
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前置きが長くなった。この期に及んで何の生産もしないし何の為にもならない正月登山の話など肩身が狭いが、途中で放り投げるのも後味が悪いのでついでに書こう。
ここ数年は伯耆大山も暖冬で積雪量は少ない。でも今年はさらに少ない気がする。五合目まで上がればさすがに周囲は雪景色となるが、トレース(踏み跡)はほぼ夏道の上だ。所によっては地面が出ている。新しく建て替えられた六合目の避難小屋もすっかりそのまま出ているほどだ。正月でも雪の多い時には雪に埋もれた小屋の入口の戸にたどり着くまでシャベルで掘り進まなければならないことも多い。
それにきょうはこの時期としては風が弱い。樹林帯を抜け出るとゴーグル無しではまともに顔を上げられないほどの湿雪混じりの強風が吹いているのが普通だ。八合目を過ぎると多少風も出てきたがゴーグル無しでも何とか我慢ができる。歩き出して2時間半ほどで頂上避難小屋に到着だ。さすがに小屋は風雪で白く凍てついてはいるが小屋の全形が見えるほどだ。やっぱり雪が少ない。

大雪注意報に雪がドーンとまとめて降る のかと覚悟を決めたが…

今年も雪が少ない=トレースはほぼ夏道の上だ

風雪で白く凍てついてはいるが 小屋の全形が見える。やっぱり雪 が少ない
