2026年06月19日(金)

コラム・エッセイ

山なんて嫌いだった③ 「効率最優先」

おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修

 「類は友を呼ぶ」というが、山仕事をしていると不思議と同業者?との接点が増えてくる。しばらくは疎遠だった山の仕事をしている知人が何度も現場に足を運んできて時を忘れて山談議に花を咲かせることがある。

 風の噂に須金で山の木を切っているらしいという情報を耳にした林業関係者から電話がかかってきて、木材価格低迷が続くこのご時世に何を血迷ったか…と問われる。厳しい現状を伝えると、それなら現場で話そうじゃないかと出向いて山のうんちくを聞くこともあった。

 概して「山はつまらん!」から話は始まるが、これは社会の構造的な問題なのでいくら話をしても愚痴にしかならず解決策など見つかるわけがない。ただ、現実に山仕事に関わり続けているということは、大儲けは出来ないにせよ、いくばくかの利益があるからだろう。

 そのあたりのデリケートな部分は明快な答えは返ってこないが、話題の共通着地点は、現場を選んで作業効率を上げれば赤字にはならないというし、作業方法と段取りを考えることが大事だということだ。それと機械のトラブルなども全て外注ではなく、可能な限り自前で対処するとのこと。

 これは何の仕事でも共通することで当たり前のことだが、何せ相手が自然で、地形や土質、樹種、樹齢、太さなど作業をする上で同じ条件などあり得ないわけで、その都度作業工程を考えなければならないということだ。言うなれば経験の積み重ねこそが財産のようなもので、林業入門者としては聞くこと全てが新鮮で勉強になる。

 特にテクニカルな部分の話になるとは先輩方の話は大いに勉強になり、こんな時はどうするのか?あんな時はどうしたらいいのか?と質問攻めにして目から鱗が落ちることが多い。

 ところで、前回杉の丸太は1立方メートルあたり1万円が相場だと書いたが、じゃあ丸太1本はいくらになるか想像したことがあるだろうか。一般には丸太の細い方側の直径が15センチ以上で長さ4メートルが用材として取引されるが、0.15×0.15×4が体積となり、それに1万円をかけたものが売値ということで1本が900円となる。これは山で切り倒して引っ張り出し、枝を落として4メートルに切り分け、さらに木材市場まで運んでの価格だ。

 そこから手数料や運搬賃、チェンソーの燃料代や消耗品代を支払うと手元に残るのはせいぜい6割くらいか。これが細かったり曲がっていたらバイオ燃料行きでこの半分の値しかつかない。さらに機械のリース料や燃料代を差し引いたら…。考えるのが恐ろしいのが現実だ。

 林業関係者と話しをすることで学びも多いが、気になることが一つある。それは自分の持ち山を伐るのか、他人の山を伐るのかで山に向き合う姿勢が変わることだ。

 自分の持ち山なら5年後10年後を想像して多少は丁寧になるが、他人の山なら後先考えずに効率最優先を迷わず実行できることだ。

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