コラム・エッセイ
今年を振り返る2019② 《今年の5大出来事Ⅱ》
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修④雑用の合間に都合を何とかやり繰りして山歩きにも出かけた。といっても2〜3月に一度しか決行に至らず、その分挑戦的な歩き方をしていずれも心に残る山旅となった。とりわけタイトルの「5大出来事」のランキングに入れるとなれば9月に歩いた北アルプスの主脈縦走だろうか。
その北アルプスの始まりと終わりをどこにするかだが、諸説を参考にすると南は西穂高岳で北は150キロ先の日本海で親不知海岸となる。この長大な主脈も何年もかけてぼちぼちと歩いてつないできたが、唐松岳以北の約50キロが未踏だった。何しろ登山口までたどり着くまで丸1日。3千メートルの稜線に立つまで半日。下山や帰路に要する時間も考えると、日程や荷物量などかなりの覚悟で臨まないといくらも前進できない。
結果として山中4泊で親不知の海水にタッチした。特に最後の2日間は半世紀前に故小野健氏が率いる「さわがに山岳会」が伐開した「栂海(つがみ)新道」を歩くという、いうなれば若いころからの憧れが叶った瞬間でもあった。
詳しくは別の機会に譲るとして、年々(日々)体力が落ちる現実を受け入れながらの挑戦でもあり、感慨深い山旅となった。
⑤須金に自主防災組織ができて5年が経つ。人口減少や高齢化により人材が限られる中、全くの手探りで防災訓練や啓発活動等をしてきた。昨年は市の総合防災訓練を引き受けるなど、少々無理な背伸びをして関係者に大きな負担を強いてもきた。しかしながら着実に須金に暮らす人達の意識が変わり始め、いろんな組織も横並びで動ける気運に向かいつつあるのは確かだ。
11月17日に須金地区内の防災訓練があった。停電で電話もつながらず、道路も遮断されて陸の孤島となったという想定で実施したが、関係者も含めて地区住民の3分の1以上が関わり、電力も通信も避難所運営も在須金の力で完結さすことができた。
炊き出しは避難(参加)住民が持参する食材などで行い、調理も配膳も当日参加の住民が行うなど“共助の仕方〟も見えだした。もちろん課題も多く見えたが、関わる人が課題として気付くようになったことが大きな成果かもしれない。
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あらためてこの1年を振り返えれば、世は混迷の年でもあった。気候変動による記録的な大雨など気象災害が頻発した。世界に目を転じれば紛争に加えて干ばつや冷夏などにより生活基盤を維持できない地域も拡がりつつあるという。この因果も人類の傲慢なる業が無関係とはもはや言えまい。
ペシャワール会の中村哲代表が殺害されるという無念としか言いようのない出来事に、己の無為徒食を恥じる。来年が皆さまにも世界にとっても良い年になりますように。

北アルプスの終わり(始まり)は親不知の 海岸になる

11月の防災訓練=電力も通信も避難所運営も在須金の力で 完結さすことができた
