コラム・エッセイ
「安全神話もここまでか」
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修つい先日まで記録的な猛暑酷暑が続いた。外仕事など惰性と多少の勢いで何とか午前中は動けるが、日が西に傾きますます強烈に照り付ける日差しと、足元から上がる熱波に意識が薄れてしまうのではないかとさえ思う。
連日の熱中症警戒アラートが「外に出るな」「エアコンのある部屋でおとなしくせよ」などと連呼するが、そうはいかない身分と事情があれば、覚悟を決めて外に出るしかない。ただ、自分の身は自分で守るという意味では、こまめな水分補給は当たり前だが、使っている人からなかなか良いとの評判に半信半疑だったが、とうとう清水の舞台から飛び降りる覚悟で2万円近くもする空調服なるものを買ってしまった。ファンが外気を取り入れてくれるものだが、これがなかなか良い。決して涼しくはないが、服の中の熱気を多少でも放出してくれているのは確かだ。この空調服のおかげで何とか午後もちょびっとだけは耐えられるようになった。
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酷暑から一転。お盆ちかくになって天気予報では3年前の西日本豪雨に匹敵もしくはそれを上回る記録的な大雨が降ると警告する。先般の熱海での土石流も盛り土が一因とはいえ、記録的な大雨がひき起こしたことには違いない。そんな自然現象が日本中、世界中で頻発している。連日の報道では記録的だ。100年に一度。かつて経験したことがない…などと連呼するが、それにも慣れてしまった。
須金は学校や公共施設、幹線道路の国道434号線、広範に点在する主な集落が錦川流域添いに位置する。それだけに河川の水位は気になる。
戦後、菅野ダムが完成してからは、錦川の氾濫による浸水被害はないが、それまでは何度も氾濫被害があり人命も失われたという話を年寄りから聞いていた。返せばそれだけダムの治水力が発揮されていた証でもある。ダム様様だ。
ところが昨今の天気はおかしい。今夏、我が家の軒先の温度計がとうとう38度を超え、明らかな温暖化を実感した。先日より降り続く雨は庭先に置いた満タンで300㎜のバケツ簡易雨量計の雨水を2度捨てて3杯目に7割がた溜まっている。手元に須金の8月の平均降水量のデータはないが、1カ月分の数倍は降っているに違いない。
先日来、ネット上の菅野ダムの貯水位、流入量、放流量の増減データから目が離せない。貯水位はほぼ満タンで、貯水能力を超える流入が続けばお手上げで、入っただけ流し続けるしかない。となればダムの安全神話もここまでだ。
近くに電気仕掛けの水位計が最近設置された。いながらにしてチェックできるすぐれものだが、雨が強まり、ダムの放流量が増えればどうも気になり、傘を差して橋の上から様子を眺めるのが日課となった。

ダムの放流量が増えれば 川の水位が気になり橋の上から眺める

今夏、我が家の軒先の温度計がとうとう38度を超えた
簡易水位計=3杯目に7割がた溜まった
