コラム・エッセイ
「走れ!おじさん」2020⑥ 「カレーパン事件」
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修随分と自慢話を続けてきたがもうやめよう。本当なら一等の賞状だけを見せびらかして「凄いだろう!」と鼻を高くしていたい。都合の悪いものは無かったことにしたい。だが、自慢話に辟易した口直しに失敗談を…。ただし、これから先は食後直ぐの方は読まないほうがいいかも。
2月2日に周防大島で開催された「第36回サザン・セト大島ロードレース」を走った。昨年の秋以降は好記録が続き、3週間前の「のうがた新春マラソン大会」で年代別の1位をもらって心身ともに快調だ。ましてや県内のレースだ。大島なら早朝で渋滞もないので2時間もあれば着く。移動も楽でストレスが少ない。これならまたまた好記録が狙えるかも。
スタートは午前10時10分だが、受け付けや着替え、多少の暖機運転の時間も必要なので早めに着きたいところだ。余裕をみて逆算し、家を早朝6時過ぎに出ることにした。朝食は運転しながらのパンで済ませ、会場には余裕で1時間前には着いた。受付を済ませ、ぼちぼちウォーミングアップでもするか~。
きょうも足が軽くて調子がいいぞ。しばらく海沿いの道を磯の香を感じながらトロトロ走る。ちょうど小学生の部のレースの最中だ。立ち止まって子ども達の力走に拍手。沿道では応援の太鼓もますます熱が入る。
トロトロ走っていたがお腹がすいてきた。まだ号砲まで20分ある。そうだ。カレーパンを持って来ていた。スポーツドリンクも半分ほど飲んで栄養補給だ。
定刻スタート。5キロまでは1キロ4分を切るペースだ。ちょっとオーバー気味だが足は快調に前に出る。10キロ地点をゼーゼーハーハーしながらでも40分ちょっとで通過した。昨年の自己ベストに迫るタイムだ。が、時間的には申し分ないのだが、今まで経験したことがないような不快感がある。何だろう?
最近は脱水予防に給水所でこまめに水を飲むようにしているが、飲んでも体に染み入る気がしない。ますます気分が悪くなってムカムカしてきた。ペースはガタ落ちでもなんとか残り5キロメートルまできた。この調子では記録は狙えそうもない。
それよりもこの耐え難い嘔吐感はなんだ。もうだめだ。さっき食べたカレーパンと飲んだ水分全てを未消化のまま吐いてしまった。吐きながらこんなに出るのか、まだ出るのか、と思うほどだ。
後日談となるが、何でも走る直前に油ものを摂るのはご法度らしい。未消化のまま胃に飲食物が滞留し、水分は腸で吸収されるというが、そこまでたどり着けない。結果、胃は大量の内容物を入れたまま揺さぶられ不調となり、脱水にもなるという。確かにカレーパンは衣も中身も脂のかたまりだ。
今までいくつものマラソン大会に出たが、タイムはさておき必ず完走してきた。例え歩いてでもゴールは必ず踏むぞ!そんな意地もあった。それが今回で終わりになってしまった。これを自分で「カレーパン事件」と呼んでいる。

ちょうど小学生の部のレースの最中だ。立ち止まって子ども達の力走に拍手

沿道では応援の太鼓もますます熱が入る
