2025年11月09日(日)

コラム・エッセイ

「願えば叶う」

おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修

 須金地区の防災力強化のために太陽光発電と蓄電機能のついた防災倉庫「ソーラーシェルター」を導入しようと、須金の自主防災が音頭をとって昨年の10月から12月まで資金獲得のために動いていることを前々回書いた。

 目標額は350万円。住民数が何千人単位の街中の地区ならいざ知らず。山間の過疎地は言うに及ばず、住民数そのものが激減し高齢化率が7割という大多数が年金暮らしという現状からすれば無謀ともいえる挑戦だった。須金の現状を知る内外の多くの人は「こんなことができるわけがない」と思っていたに違いない。

 須金といえばフルーツ狩りで多くの観光客が訪れることで有名だが、この地で暮らす住民の一人として大きな声では言えないが、自治力とか共助力といったマンパワーあってこその底力はぼちぼちと尽きかけてきている気がする。思い出せば子どもの頃は商店が軒を連ね映画館さえあった。もちろん診療所や歯科医院もあり、子どもの数も多くバスも満員で走っていた記憶がある。

 それはそれは賑やかで活気があった。いつの間にか櫛の歯が欠けるように一軒、また一軒と店が閉まり中学校は休校、小学校も児童数は一桁。農協も撤退し、とうとう商店は無くなり、バスも走らなくなった。気が付けば両隣も向かいも空き家になった。この現実を危機的と言わずに何というのだろうか。

 それでも住民は立ち上がった。資金獲得の手段としてクラウドファンディングというインターネットを通して全国の人に向けて募金活動を始めたが、当然のことながらカード決済やらネットバンキングなどは住民にはハードルが高く、準備段階から何がどうなっているのか、何をどうしてよいのやら分からないという声がほとんどだった。

 それなら募金箱を設置して現金で受け付けますよ。息子や孫ならスマホで寄付できるから頼んでね。などなどチラシを配りポスターを各所に貼って歩いた。

 結果からいうと、無事にというより奇跡的に目標額に達成した。クラウドファンディングでは全国からこのプロジェクトに賛同して多くの方の寄付もあったが、その数以上に住民やその家族、須金出身者はもちろん友人知人にも輪が拡がったからこそ達成できたと思う。

 先ほど寄付をして頂いた100人を超す方々の名簿整理が終わった。近日中に銘鈑にその人達の名前を刻んで「ソーラーシェルター」に取り付け永く残すことになるが、お礼と記念の意味と併せて須金の住民や縁者その友人知人の皆さんが須金のためにと心を通わせ一つになった成果物ですよ。

 確かに過疎で危機的な地区かもしれないけれど、決して“絶望的”な地区ではないですよ。みんなで願えば少々無謀だと思えることも実現できますよ。そんな皆さんの思いと須金の防災を象徴するようなものになればいいなと思っている。

 何かにつけて「願えば叶う」と聞いてきたが、これって本当なんだなあ…。

目標達成に須金中が喜んだ:郵便局の前には「祝!目標達成」の看板が立った

1月26日 大型トラックでソーラーシェルターが運ばれてきた

設置完了 願えば叶うものですね

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