コラム・エッセイ
2018年を振り返る《とうとう来たか…》
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修つい先日、我が家でバイクの修理をしていた時のことだ。片手にドライバーを持って倉庫の中に入ったのだが、何を思ってここに来たのかがわからない。立ったまましばらく考えたが思い出せない。ドライバーを持っているということは何らかの作業をするつもりだったのだろうが、それが思い出せないのだ。
まあ、大した用事でもなかったのだろうと倉庫を出てバイクの前に戻った。今度はさっきまで何の作業をしていたのか思い出せない。バイクの前でしばらく考えていたが、それさえ思い出せない。そのあとバラバラにしていた部品をいじくってやっと思い出した。そうだ、充電中のバッテリーを取りに行ったんだ。
近ごろこんな経験が多くなってきた。とうとう来たか…。
師走を迎え、駅前のイルミネーションが点灯したなどという話題も耳にする。久々に街中を歩くと飾りつけもクリスマス商戦も最前線を実感する。この一年を振り返ってみると、何と慌ただしかったことか。日々何かに追われるような毎日だった。
毎年この時期に同じようなことを言っているが、要するに不器用で要領の悪さゆえの結果だ。力もないのにあれこれと頭を突っ込み、手を出しては自分で自分の首をしめていることはわかっている。選択と集中というが、能力に応じた行動をすべきだと毎度反省する。
きのうはおろか10分前のことが思い出せないのに、年頭にあげた目標など遠い過去のこと。その達成率を語ることに意味はないかもしれないが、それでもいくつかは投げずに完遂したことを思い出す。
くどくなるが、何と言っても防災訓練は自分にとっては今年一番の大イベントだった。てん末は語り尽くしてはいないが、この紙面でお伝えした通りで、多くの方の協力があってのものだった。大きな成果も得たが、課題も見えた。
今後は「縮小社会」に突入するともいわれ、社会の仕組みや人材にも限りが出てくるのは明白だ。しょせんは訓練だ。やっておしまいではなく、これを機に将来を見据えた取り組みにつなげていかなくてはならない。若い世代に引き継いでいくことも大事な仕事だと強く思った。
二つ目は荒れに荒れた我が家の裏山の再生計画。10年目に入ったが、放牧のおかげで年々見通しがよくなってきたことを実感する。さすがに10年もすれば牛たちの特性もわかって扱いにも慣れた。
秋口には近所の、足を踏み入れるのが恐ろしいほどかずらやセイタカアワダチソウが繁茂していた2反ほどの畑に出張してもらったが、数週間で見違えるようにきれいな農地にしてくれた。来年は我が家の裏山から範囲を広げて地域の景観保持に挑戦してみたい。
問題は、来年までこれらを忘れずにいられるかだ。ちょっと自信がない。

防災訓練は今年一番の大イベントだった

来年は範囲を広げて、地域の景観保持に挑戦したい
