コラム・エッセイ
2018年を振り返る③ 《今年の山登りは…Ⅱ》
おじさんも頑張る!~山の話あれこれ~ 吉安輝修山歩きといってもいろいろなスタイルがあるが、自分は縦走という歩き方が一番性に合っている。縦走とは山頂と山頂を尾根でつないでいくことだ。山に興味のない人には全くどうでもいいことだと思うが、地図上に自分の歩いた軌跡を赤線で延ばしていくというのがたまらない。
いい歳をしたオッサンが地図をにらみながら時に指を折り、時に顔を上げてブツブツと独り言をつぶやきながらまだ見ぬ山々を夢想するひと時こそ至福なのだ。
日本海から太平洋にまで400キロ以上も名だたる山々が連なる日本アルプスも頂上をつないで歩いてみたいと、ぼちぼちと足跡を延ばしている。ただ、信州の山ともなると登山口に着くまで1日かかり、そこから稜線上に立つまでに1日。下山にも1日かかるとなれば、日程的にかなり余裕がないと進める距離はたかが知れている。
今年の秋に北アルプスの唐松岳から日本海まで一気に歩く計画を立てていた。順調にいけばテントで山中4泊の予定だ。今年は防災訓練を控え、のん気に山に行ける余力などないのだが、これだけは外せないと諸々の用事をすませ、会議なども差し繰りして何とか日程を確保して少しずつ準備していた。
テントや寝袋はもとより、食料や水、コンロ、燃料などザックに詰めるとどんなに厳選しても20キロはゆうに超えた。若い時ならもう10キロ足しても余裕で歩けたかも知れないが、今は無理だ。
入山予定日に合わせて天気予報を気にしていたが、信州は傘マークが消えない。今はインターネットで主な山岳地帯の予報も入手できるが、それによると入山2日目までは3千メートルの山は雪で風速は15メートルという。気温は0度ほどだが、これが一番始末が悪い。
入山初日は八方尾根から入り、唐松岳から不帰の瞼(かえらずのけん)という険悪な岩稜帯を通過して天狗池のキャンプ指定地まで歩く予定だ。晴れて岩が乾いていればそれほど気にはしないが、荷物が最大重量で滑りやすい湿雪となれば、二の足を踏んでしまう。何とか無事に通過しても、湿雪で濡れた装備など乾く要素がなく快適とはほど遠いだろう。
唐松岳には大きな山小屋もあるので、天気が良くなるまで待機することもできるが、1晩泊まれば1万円を覚悟しなくてはならない。それが2晩となれば…。
天候が安定してからの入山も考えたが、それでは時間切れで目的の親不知の海までたどり着けそうもない。
天気予報を見ると、ここ数日晴れるのは日本中で九州だけだ。こうなったら目的地の変更だ。いつかは歩いてみたいリストの上位にも入っている大分県の祖母山から傾山の尾根を歩こう。
それぞれ単体では山頂を踏んでいるが、ようやく縦走のチャンスが来た。

八方尾根から眺める不帰の瞼=湿雪では滑る

唐松岳の大きな山小屋=天気待ちで1晩1万円は…

いつかは歩きたいリストの祖母山~傾山の縦走
